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13音 従弟と私 ページ15
ご飯を食べ終え、ケーキを食べ始めると、原があ、と呟く。
Aが首を傾げたのを見て、あとでねと言ってチョコレートケーキを口にした。
ケーキも食べ終え、Aは原とお皿洗い。二人でちょっかいを出しあいつつ終わらせると、原に連れられ一緒に原の部屋へと向かった。
そして渡された、チケット。
「来週の日曜、ライブなんだよね。来てよ」
その言葉に、目を見開いてチケットを見つめた。
声が出なくなってから、初めてのライブ。
羨ましい
と、思った。
私だって、出たい。
ズルい。
なんで、私だけ。
「やっぱり」
え、と顔を上げた。
「出たいんでしょ」
どきり、と胸が鳴った。そんな気がした。
「じゃあさ」
原は、Aの腕を掴んで防音室へ引っ張った。
「これ」
「……?」
そして、Aのテレキャスターのネックを掴み、Aに差し出した。
「歌えないからライブしないの? ちがうでしょ、作詞作曲だってしてるんだし、したらいいじゃん、ライブ」
「丁度ここに天才ドラマーが居るんだし?」
咄嗟にでも、と言おうとしたが、声は出ない。
不安そうに、でもスマホもリビングだし何も伝えられずにいるAに、原は口角を上げて言った。
その一言で、Aの未来が動いた。
「オレと、Aの曲世界に聴かせようよ」
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作者名：紫 | 作成日時：2019年3月6日 1時
