第21話 ページ23
宮地side
「あれ、そこにいる美人さん誰っすか?」
ボールを手に、高尾がそう話しかけてきた。
美人? まあ、整ってる方ではあるよな。
「アイツはオレと同じクラスのAAだ」
裕也がそう言いながらこちらへと来た。
「A!? って、校内で有名な不良の!?」
「そうだ。色々あってオレの付き添いだ」
「え!? ……え!? それってどういう……」
「さー練習始めんぞー」
「ちょ、宮地さんっ!」
…………
………
……
…
「悪い、遅くなった。」
「遅い」
「だから悪いって言ってんだろ」
「ハイハイ」
「A家どの辺りだ?」
「歩いて10分くらいっすけど」
「送ってってやる」
「わーきよセンパイ優しー」
「きもい」
「ひでぇ。ジョークなのに」
そんなやりとりをしつつ、宮地と私は自宅へ向かって歩き出す。
「なあ、朝言ってたアイドルって……」
「jade」
「は?」
「知ってます?」
「あれだろ、新星divaとか言われてる芸能界屈指の人気を誇る翡翠色の……て、お前……」
宮地センパイが私のことを見開いた目で見る。
ーーー私の側を離れないで
ーーーなんて
ーーー寂しさに押し潰されそうなんだ
すうっと息を吸って歌った。
「まあ、信じなくてもいいっすよ」
じゃ、家ここなんで。
そう言って私は、家に入った。
宮地side
これは運命に違いない、か……。
家に帰ったオレは、Aの歌ったその歌詞を検索した。
『これは運命に違いない』
女子高生の、同性愛を描いたアニメーションのオープニングを飾った曲だった。
Kurotubeでタイトルを検索し、ミュージックビデオを再生する。
その歌声を聴いて、オレは確信した。
Aの歌声だ。
大人ぶって、不良ぶっているけど、ひとりぼっちでいるA。
更に調べたら、この曲の歌詞はjade、つまりAが作詞したらしい。
そういえば。
オレは、Aのことを全然知らない。
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作者名:紫 | 作成日時:2015年2月27日 16時