【黒バス】正義のヒーローは現れない。 (ページ14)

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第12話ページ14

───「知らない」「知らない」───

───そっぽ向いて───

───「わからない」「わからない」───

───逃げてたんだ───

───うずくまって泣いていた───

───何も感じなくなった心に───

───歪んだ世界に果てがあるなら───

───そこにどんな僕がいますか───

───それともそこに僕はいませんか───

歌い終わると、観客から拍手が送られる。

「はい、jadeさんの新曲！『歪んだ世界』でした！」

拍手が止んだ所で司会者がそう紹介して、とりあえず私の出番は終わった。

笑顔を観客へ振り撒いて、椅子に座る。
次歌うのは－－

「お次は、近頃人気急上昇中のシンガーソングライター！特に10代から30代の女性に人気を集めているこの方です！」

スモークが段々晴れてきて、そこに居たのは黒髪で半狐面の男性だった。

「キャーーーー！！！」

甲高い声があがる。
私も、彼は見たことがある。

───暗い闇に葬り去った───

───キミのキオクはもう戻らない───

低くて、男らしいかっこいい声。
確かに女性受けしそうな声だ。

───夜空に咲く花火のように───

───一瞬だけ光るキミの笑顔───

彼の名は、『ミスト』

プロフィールは一切非公開で、そのミステリアスさが女性を虜にしているらしい。
所で1つ、気になる事がある。
彼は、私の知ってる誰かに似ている……？

「ミストさんで、『ray of light』でした！」

曲が終わったようで、ミストも椅子に座る。
その席は、一番前の一番右側に座ってる私のすぐ隣だ。

「今日初公開となった、jadeさんの『歪んだ世界』
いかがでしたでしょうか？ jadeさんにインタビューしてみます！
jadeさん、この曲について教えてください！」
「はい。この『歪んだ世界』は特に思春期で悩み事ばかりな方々の心を満たしてあげられたらと思い作詞作曲しました。
『歪んだ世界』の入ったアルバム、実は今日レコーディングしたばかりなんです。アルバムが発売されたら、是非手にとってみてもらいたいです。」

最後に、ニコリとカメラへ向かって笑いかける。
どのくらいアルバムが売れるのか、楽しみだ。