第10話 ページ12
日曜日なのもあってか、紺野さんの車から見た駅前は人で賑わっていた。
「あー今私と同い年くらいの人いたー、羨ましー」
友達らしき三人組は、仲良くクレープを頬張っている。
「レコーディングの帰り駅寄ってもらえません?」
「ダメよ。その髪色で駅前は目立つでしょ。」
「……はーい」
仕事の日は『蒸れるから』という理由でウィッグを被っていない。
学校から直行で行くときは被ってるけどね。
あーあ、雑貨店行きたかったなぁ……
「歌詞の確認でもしなさい」
「了解です」
バッグからクリアファイルを取りだし、歌詞カードを見る。
この曲、私は結構好きだ。
自問自答しているこの歌詞は、胸に響いてきやすい。
きっとこの曲もオリコン入りとなってくれるだろう。
それに、今日やる生放送の歌番組でこの曲は初公開となる。
大人気の歌番組で大々的に初公開、紺野さんも社長さんもヒット間違いなしだと意気込んでいた。
−−音楽プレーヤーにイヤホンを差し込み、曲を流す。
歌詞を目で追いながら曲を聞くと、なんとなく覚えやすい気がするんだよね。
「着いたわ。時間ギリギリだから早く降りて」
「はい!」
出していたものをバッグにしまって、車から降りる。
秋特有の風が私の髪を靡かせた。
レコーディングは無事終わり、残る仕事は歌番組だけとなった。
歌番組まで結構時間があるので、一旦家に帰る。
「あ、おかえり」
「なんで……」
38人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫 | 作成日時:2015年2月27日 16時