p22. 俺氏、ヘタレ野郎に物申す 3/4 ページ24
・
そっと玄関のドアを開けて出て来た大槻は、赤司の姿を認識するなり俯いた。しかし赤司は大槻から目を逸らさずじっと彼女を見詰めていた。実渕が「征ちゃん…覚悟を決めたのね…」と緊張した面持ちで言ったが、多分違う。あれは2日ぶりに会えた切なさと会ってもらえた嬉しさを噛み締めているだけだ。
「…倒れたと聞いたが、大丈夫なのか」
「あー…まあ…」
「そうか…」
「…」
「…」
「えっ会話終わり!!!???」と叫んだ葉山の頭を「うるせえ」と根武谷がシバいた。まあ葉山のツッコミは適確だ。これは焦れったい。焦れすぎた実渕がシバかれた痛みに頭を抱えて蹲る葉山に卍固めを喰らわせる程に焦れったかった。
早よ謝れよと念を送ると、念が届いたのか、赤司が漸く口を開いた。しかし飛び出した言葉は全くもってトンチンカンな言葉だった。
「…部室が、汚いんだ」
「は?」
これには俺達全員も「は???」だった。何故部室。今それ関係あるか?
「お前が居なくなった後、部室がものの数時間で汚れた。整理されていたファイルも転々と散らばっていて、酷い事になっている」
「…え、いやでも、樋口さんとか他にマネージャーおるやん…」
「彼も彼で仕事があるし、他のマネージャーもそれぞれに役割があって手一杯だった。マネージャー業務をしつつ、他の事に気を回すのは出来ないと…言って、それで…」
「…」
「…すまなかった。戻ってきてくれないか、A。『必要ない』などと酷い事を言ったが、お前はちゃんと部の為に力を尽くしてくれていたと、いなくなって漸く気付いたんだ」
マネージャーはサポート業だ。選手の様に目に見えた功績などないので、その労力が認められる事は少ない。加えて洛山には選手もマネージャーも多い。余計にその仕事は目立たないだろうな。実際、選手は目の前の鬼畜な練習メニューをこなすので精一杯で、マネージャーのことなど一々構っていられない。
本当にすまなかった、と再度謝罪の言葉を述べて頭を下げた赤司に、ざわつく俺達。頭が低い低いじゃねーかと衝撃が走る。
「いや、ウチこそお前に結構酷い事言ったし…。ほんまにごめんなさい、あの時、イラついてたからって赤司に八つ当たりしたんや」
「そうさせた原因は僕だ。八つ当たりの事も、失くしたファイルの事ももう気にしていない。だからAも気にしないでくれ」
「…うん」
そう言って微笑んだ二人を見て、俺達はホッと安堵したのだった。
・
p23. 俺氏、ヘタレ野郎に物申す 4/4→←p21. 俺氏、ヘタレ野郎に物申す 2/4
1496人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かばん - 番外編の『ナニは入ってません』でクソワロタンバリンシャンシャンw (2019年7月1日 18時) (レス) id: bbcce8e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 更新プリーズ (2019年6月4日 19時) (レス) id: f750d8e997 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - めっちゃ面白いです!笑いが止まりません!続き楽しみにしてます! (2019年3月22日 21時) (レス) id: a6be0e3a0d (このIDを非表示/違反報告)
松村ユノ(プロフ) - 赤司のキャラ崩壊っていつ見ても笑い疲れる() (2018年5月6日 15時) (レス) id: 645b0b4b0b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - チート赤司様があわててるとこがギャップでかわああですね (2018年4月2日 17時) (レス) id: 4b5f57253f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:縁樹 | 作成日時:2014年12月5日 19時