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第六章 亀裂 ページ8

雑巾が赤く染まる





まだ少し生温い雑巾を絞る






ただ抑えたって血は垂れるのにでも今はそれより早く、ここを片付けないとって思った





急いで床を拭き急いでお風呂場に向かう






手を離すとドクドクと溢れ出てくるものだから急いでもう一度抑える





どうすることもできなかった






私には傷口を縫うような技術を持ち合わせていなかった






ふと思い出した止血法






一旦、異能で血液を固める






それを解除それを繰り返しキッチンまで向かう






フライパンを温める






熱く熱く






そして傷口に当てる






『ッ!!!!』







熱い痛い






でもこうしなければ死は目の前





歯を食いしばりもう1箇所







それが終わった頃には手が震えて痛くて







泣き出してしまいそうなのをまた堪えた






次は火傷の治療をしなければ悪化してしまうだけだから私ができる範囲の火傷の治療をした






病院には勿論いけない






服が擦れて痛い







歩くたびに動くたびに服が擦れて『ヴッ』と声が出る






痛い痛い







『痛いっ』






どうにかして歩いていたら足も止まってしまって床にしゃがみ込んだ







我慢していた筈の涙が溢れて床を濡らす







『…ふっ…ぁ』







『ぁっ…ふっ』







私の前に足が見えた







上を見ていると冷たく見下ろす主人様






『ッあ』






「…うるさいですね」






「泣いたところでどうなるんです?まさか、慰めてもらえるともお思いで?」







『違っ』







「なら泣かないでください。非常に目障り耳障りです」







そう冷たくはいて主人様は戻っていく







未だ流れる涙を急いで抑える







声を殺した






早くこの場から離れないと







そう思うのに足は動かない







動けッ動け






お願い…うごいてよ






『?』






その時チラチラと降り始めた結晶






なぜか凄い勢いで体がひえる






わからない。






後ろを向く






『ッ!?まっ』






突如現れた氷の槍が主人様に向かっている






違う私じゃない






『ッ主人様!逃げッあ!』






そう言い切る前に主人様に向かって飛んでいく無数の槍






主人様はゆっくりとこちらを振り向きながらも避けてくれた様で傷は無さそうだった





けど、後ろのモニターは割れていて





『ッなんで』





私の異能力を制御できない






例えるなら、異能力自体に自我があるように

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メイデーア - 幸せになって欲しかったって神かよ、泣けるッ…。ドスト様、夢主ちゃんは幸せだよ。あなたを庇えたんだから。あなたを助けられたんだから。あなたを死なさずに済んだんだから。武装探偵社やポートマフィアには不利益でも、きっとそれは正しかったのだから。 (4月23日 16時) (レス) @page24 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - ありがとうございます!生まれ変わった話…面白そうですね!短編にはなると思いますがまた、落ち着いた頃に書きます!! (3月7日 6時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
メイデーア - 完結おめでとうございます!最後の夢主ちゃんがドスくん庇ったシーンでガチ泣きしました。大変わがままなのですが、その後、ということで、夢主ちゃんが生まれ変わった話を作ってもらえないでしょうか?お願いします! (3月2日 21時) (レス) @page26 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - ありがとうございます!来世は推しと生きたいさんの感想に驚かされてばかりです!語彙力が凄くて…次回作まで期間が空いてしまうとは思いますが完結までまた頑張ります! (2月28日 0時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しと生きたい - 完結おめでとうございます!!続編に移行されてからコメントできていなかったので今全部伝えちゃいます。本当主さんが書く夢小説には毎度泣かされてます…。ドスくんの気持ちが薄々現れていく感じとすれ違いが,読んでいて凄いと感じました。次回作も追わせて頂きます! (2月26日 7時) (レス) @page25 id: 34d0d522f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢幻泡影(むーにー) | 作成日時:2024年1月25日 18時

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