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『それで?何故知っているの』
「…お前の親に聞いた」
間を空け答える焦凍に疑問を持ったが、それは敢えて無視して歯を食いしばった。
(あんのクソ親がァ…!!)
私の親、大手企業「アクア」の代表取締役社長と社長夫人は、汚い手を使い儲かった挙句私を発散機として使う親だ。
あのゴミが私のことを年がら年中カンシしていることはまだいいが、幼馴染に教えるなど。
気が強い私にとってどれほど屈辱なことか。
一旦冷静になるために息を吐き出す。
そして彼の肩に手を置きにこりと綺麗に微笑んだ。
『その事は今すぐ忘れなさい焦凍』
「悪ぃ無理だ」
分かってはいたが即答か。
一瞬頭痛がして目頭を摘む。
それを見た焦凍は私の背中をさすった。
…いや、貴方のせいなのだけれど。
焦凍らしい…。
「お嬢様」
「少しよろしいでしょうか」
後ろから低い男性の声が二人分。
振り返ってみると容姿が似ている二人の男性が私に向かって頭を少し下げていた。
彼らは私の使用人で執事の双子、白髪がアズで黒髪がイズだ。
どちらも目は私と同じ蒼色で、顔面偏差値が高い。
それはもう焦凍以上に。
彼らは私が小さい頃に拾った捨て子だ。
それ以来、忠実な部下として働いている。
そのせいか、私は彼らがいないと身の回りのことすらできなくなった。
決して私が不器用とかそんなんじゃない。
ただ彼らが器用すぎるだけ。
…私はダメ人間になりかけているんだ。
これは彼らの思惑だろうか。
いや、違う。彼らに限ってこんなことをするわけが…。
シャキッと背筋を伸ばし、再び微笑む。
『それで、何か用なの』
「旦那様がお呼びです」
『…お父様が』
淡々と告げたアズに頬が引きつった。
お父様が私を呼んでいる。
…勝己様のことだ。
彼は将来有望、所謂玉の輿というやつだ。
絶対に掴んで離すなと仰っていたのに私は離してしまった。
それについてお怒りなのだろう。
正直に言って行きたくない。
「もしイヤならお断りをいれますが」
私の気持ちを察したのかイズが電話に手をかける。
それを直ぐに止めた。
イズは何故という顔をしていたが、お父様は気が小さい。
私が行かなかったらどれだけ怒り狂うことか。
考えたくもない。
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サリー - たまたま見させてもらったのですがと、轟ッ…!!ってなりました!!無理せず頑張ってください! (11月3日 19時) (レス) @page9 id: be7cfea392 (このIDを非表示/違反報告)
瑠愛(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませてもらいました!全部見終わってうわー!!気になるー!と心が叫びました笑これからも応援してます! (2021年10月12日 23時) (レス) @page9 id: a61b3484b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひまた - お話楽しく読ませていただきました!!更新楽しみに待ってます (2020年8月2日 17時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
クウ(プロフ) - 初めまして。面白いです。続きが楽しみです。 (2020年1月16日 21時) (レス) id: 0f4930ab02 (このIDを非表示/違反報告)
千燈篭(プロフ) - イケメンになりたい。さん» そうでしたか!!ただの勘違いで迷惑をかけてしまって申し訳ない……これからも頑張ってください!! (2020年1月9日 18時) (レス) id: d8fcfefed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2019年12月22日 20時