【あんスタ】契約彼女。―SECOND―『瀬名泉』

くれぐれも内密に〜朔間凛月〜 ページ13

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｢セッちゃん、おい〜っす♪｣


楽屋のドアを再び開けて、セッちゃんに声かける。

スマホを持ったまま、こちらを一瞥して

くまくんか、と、興味無さそうに言う。

その一瞬の表情で、今の感情を悟った。


｢……怒ってる〜？｣

｢当たり前でしょ、こっちに来るなってあれほど言ったのに｣

｢用事が用事だから許してよ｣


それに荒らしてるわけじゃないんだし。

なんて言えば、そういう問題じゃないと返ってくる。

その態度に少しムッとして、俺は爆弾を投げる。


｢……てっきり、Aを連れていったからだと思ったんだけど？｣


あえて、『A』だなんて呼んでみて。

例えば、本当に恋人なんだとしたら

あんたは……セッちゃんは、どんな反応をする？

そんな好奇心も混ぜ入れ、からかっただけなのに。


｢……その通り、って言ったら？｣


予想外の答えだった。

そんなわけないとか、なんでそうなるとか

在り来りな答えだと思っていたのに。


｢さっさと話済ませて、Aをここに連れてきて。

あいつは、俺の彼女なんだから｣


迷いなき眼で、そう告げるセッちゃんに

俺は何も言えず、口をぽかんと開けたまま

長いような、短いような静寂が流れる。


しばらくすると、セッちゃんが息を呑む。

その瞬間、なんだか面白くて、ぷっ、と吹き出す。


｢……何笑ってんの｣

｢ごめんごめん、笑ってな……ふははっ｣

｢笑ってるじゃん！もういい！前言撤―――｣

｢いいと思うよ、セッちゃん｣


なんだ、ちゃんとしてるじゃん。

……セッちゃん、ちゃんと恋してるじゃん。

噂話だったから、半信半疑ではいたけど

『恋愛は』、してるみたいで安心した。


｢でもセッちゃん……、嘘は良くないよ。

あの子と付き合ってるわけじゃないでしょ……？｣


俺がそう核心に迫ると、セッちゃんが一瞬たじろぐ。

確信はなかったけど、この反応では当たりらしい。

珍しく可愛い姿に小さく笑って、俺は言う。


｢いいよ、全部話してくれたら協力してあげる……♪｣

｢……はぁ？別に頼んでないんだけど｣

｢必要だと思うけど……？セッちゃんのことだから

大なり小なり、ややこしくしてると思うし｣

｢……それはない｣


図星かよ。

……でも、セッちゃんが恋なんてね。

これから色々、楽しくなってきそう。


｢じゃあ、今から作戦会議かな……｣


『仲間』であり『友達』である、君の初恋。


俺の協力で、実らせてあげるよ。



｢くれぐれも内密に、ね？｣

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