３５、遠く離れていくような ページ35
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握った拳を、もう一度握り直す。
Aが危険なのに、黙って見送れない。
私、水川桜咲は、目の前の従姉妹を見つめた。
｢Aは頑張ってくれた、もう充分だから｣
瀬名っちに何されてるか、あの跡を見れば一目瞭然。
だったら止めなきゃ、辞めさせなきゃ。
Aは、『私の為』にやってくれてるんだから。
｢もう、終わりにしよう？｣
私の声が響いた後、静かになる。
Aはいつもの澄ました顔で、横目に見ている。
しばらくすると、私に向かって微笑んで……
いや、軽く笑ってる。意味わかんない。
｢ちょっと！人が心配して言ってんのに！｣
｢わりぃわりぃ、なんか深刻そうにいうから｣
｢し、深刻な話でしょ？！｣
私が大声で抗議しても、笑いながら廊下へと出る。
慌てて後を追いかけて、Aに軽くどつく。
何故こんなに楽観視出来るんだ、この男は。
違う、この子女の子だった。私が男だよね、うん。
絵面的には否定しか出来ないんだけど。
｢って！そうじゃなくて！｣
｢うおっ？！｣
心臓に悪いと文句いいながら、私を見るA。
あんたの身の危険について話してんだよ？！
私がそう叫ぶと、何故か｢いいんだよ｣って。
｢確かにそういうことは結構あるけど
黙っててくれている以上しゃあないだろ｣
｢……そんなんで許しちゃっていいの？｣
｢まぁ……写真撮られたのは俺が油断したせいだし
理由もとやかく聞いてこないし、大丈夫だって｣
気だるそうに歩くAは、｢それに｣と続けて
照れくさそうに頬をかいて、それを告げた。
｢俺、あいつのことが好きなんだ｣
予想してなかった真実に、息が、心臓が
体のあらゆる機能が止まりそうになった。
そんなことは知らず、Aが笑う。
｢改めて言うと照れるな……｣
Aが、私の前ではしないような表情を見せる。
その表情に、私はさらに混乱した。
本当に、好きなの？
どうして、そんなことを言うの？
Aは恋愛しないって言ったでしょ？
わかんないよ、ねぇ。
私、何もわかんないよ……！
｢……なるほど、ね｣
―――馬鹿馬鹿しい。
｢そういうことは最初から言ってよ｣
｢わりぃ、なんか言いづらくて｣
……どうしよう。
｢なにそれ、私じゃ頼りないってこと〜？｣
｢そうは言ってねぇだろ、このひねくれ者｣
……どうしよう。
｢なにそれ、照れ隠し？｣
｢うっせ、つーかお前もう帰れよ｣
｢もうちょっとだけ！ね？｣
｢ったく、しょうがねぇな……｣
……どうしよう。
AがAじゃ、なくなっちゃう。
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nekosugi - 色んな作品楽しみにしてます！！ (2018年3月29日 18時) (
レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 是非！よろしくお願いします！ (2018年3月28日 1時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 私もせなくん好きですよ！もしよかったら友達になりませんか？ (2018年3月21日 21時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 私は元真緒くんでしたけど、今は瀬名くんです！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 莉緒さんは、あんスタで誰が好きですか？ (2018年3月3日 15時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
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