26 ページ26
「かかってきた電話は3コール以内で出るのが社会人の基本だと思うけど
緊急時なら尚更ね」
私がそう言うと、飯田は笑って誤魔化していた。
彼はそういう人間だ。そんな人間から緊急の電話なんて色んな意味でヒヤヒヤする。
「あはは、それよりよく聞いて欲しいんだけどさ
明日上様が江戸に出向くんだって
俺も勿論護衛でついていく。
将軍様に呼ばれたとか言ってたけど、ついでにお前の様子も見に行くって言ってたぞ」
「あっそ………………え?」
「どうせあの人の事だ、江戸で数日たんまり遊んで帰るだろうね。そん時はお前も護衛に当たれよ?」
「待って待って、話が見えないんだけど…」
「だから…
明日江戸に上様が行く
お前は俺と明日から少しの間江戸で護衛に当たる
それだけだろ」
「…ドッキリじゃなくて?」
「残念ながらドッキリじゃないな。…っと、俺まだ仕事が残ってるからとにかく朝から準備しといて
着いたらこっちから連絡する」
「ま、待っ__」
飯田は私の言葉を無視して電話を切ってしまった。
怒涛の数分間だった。冷や汗が止まらない。
護衛なんて神経をすり減らす任務は暫くしたくなかったのだが、こうもすぐに任務に出ることになるとは…
しかも江戸での護衛、あのわがままなボンボンの事だ。きっと一日中歩き回られるだろう。
面倒なんてもんじゃない。これなら粛清に出た方がマシまである。
「まだ病み上がりなのに…うう」
*
翌朝
うるさいアラームが耳元で鳴って起床した。
冬のせいか、まだ外は暗い。
隊士達が寝ている静かな屯所をゆっくり歩きながら準備をしていると道場の方からガタン、と音が聞こえた。
「(何か物でも落ちたかな……それか泥棒かも)」
そんなわけないか、と自分でツッコミながら道場を覗いてみた。
「…土方」
「うあっ!?」
そこに居たのは道着姿で木刀を振る土方だった。
予想外で思わず声が出てしまったが、その声に土方は驚いた様で珍しく間抜けな声を出していた。
「ふふ、何その声」
「っびっくりした…何してんだよお前」
「聞いてないの?
今日私が護衛してたあのボンボンが将軍様と会合だとかで江戸に来るって」
「ああ、会合の相手そいつだったのか。
なら今日は護衛に当たるのか?」
「今日と多分明日もね。」
「そうか…」
225人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時