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Aside
土方と何時もの口喧嘩をしてから道場を出た。
稽古をしたからなのか…
いや、やっぱりなんだか今日は体が重たい。
さっきの土方との稽古だって身体が乗らなくて
土方が稽古終わりじゃなかったらそんなもんか、なんて馬鹿にされていたかもしれない。
刀を腰に差して、全身鏡で服装を確認するとやっと屯所を出た。
「ん、あれは…」
まだ朝の静かな道を歩いていると、遠くに人影が見えた。まだ屯所も近い、きっと任務帰りの隊士だろう。
「あれ、あんた…」
「…久々だな」
隊服も着ていない、なのに腰に刀を差している。
誰かと思えば数週間前に私を差したまだ少し幼い浪士ではないか。
「何してんの…自首でもしにきた?」
「そうだよ。逮捕しろよ」
「話が急なのよ…悪いけど、私今日大事な仕事だから」
「自分を刺した浪士を逮捕するのは大事な仕事じゃねーってのかよ」
両手を私に差し出したまだ子供であろう浪士。
手錠をかけろ、という事のようだが
生憎私はこの子を逮捕するつもりは無い。
「罪悪感でも湧いてきたの?
まぁ、私を刺す時躊躇してたものね」
「…半端な覚悟でやってるなら辞めた方が良いって
アンタがそう言っただろ」
「それで自首しに…ねえ。律儀なこった
でもまだ若いんでしょ、何も私は1度の過ちで自らこの先長い人生棒に振る必要ないと思うんだけど」
自分を殺そうとした相手になんでこんな諭す様な真似しているのかよく分からないが、この子はとっくに改心してる。
機嫌が悪かったら逮捕してたかもしれないけど…
「それに、私は勘定方だから。逮捕ならこの先に居る鬼やらドSやらに自首しにいきな
まあ逮捕だけで済むかは知らないけどね」
私がそう言うと唾を飲んだ青年。
「…なら、これからどうしろってんだよ
しょっぴいてくれねえなら教えろよ」
「貴方の親を殺した本当の仇は真選組じゃない
それに幕府に敵討ちなんてキリがない。
自分が本当に仇を取らないといけない相手を見つけてみなよ
そうすれば自然とやるべきことも見えてくるでしょ」
俯く青年の頭を軽く撫でて過ぎ去ろうとした時、腕を引かれた。
「憎くないのか、俺が」
「憎いよ、そりゃだって刺したんだもん。
だからこれ以上君の顔が見たくないのよ
さあ、帰った帰った
帰る場所あるのか知らないけど」
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時