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「じゃあ、私はこれから大事な仕事だから」
私の腕を掴む手を振り払ってその場を後にした。
それ以上私に声をかけたりも追ってくることも無かった。
自首していないことを願うが…
あれだけイキって諭しておいてまた会うなんて小っ恥ずかしい。
それにしても、自分でもあんな言葉が出るなんて思わなかった。
「本当に仇を取らないといけない相手…か」
「君にそんな大層な相手、居るの?」
「わっ!?!?」
急に後頭部に声が降ってきて思わず大きな声を出してしまった。反射で避けようとしてか、前に転びそうになったがなんとか体勢を立て直して声の主を確認する。
「…飯田」
「あんまり遅いから迎えに来たんだけど」
「気配を消すな、気配込みで私に近付いて来い」
「そんな場合か、もう上様こっちへ着いてるよ」
「え、まだ…朝の7時半じゃない」
「将軍家と会合があるんだから、早めに宿に行って支度してる。早く行くよ」
飯田は私を置いてさっさと走っていってしまった。
「ま、待ってよ!」
*
「___お久しぶりです、上様」
「ん、蘆名か、久しぶりだな」
「え、ええ…久々にお目にかかれて光栄です。」
支度している上様の居ると言う部屋に入り挨拶をしたがなんとまあ。
朝からくっちゃくっちゃと音を鳴らしながら高級そうな料理を平らげているではないか。
「今日から数日間ご一緒させて頂きます…」
「そうか…なら丁度いい。
蘆名、会合が終わったら俺の元へ戻ってくるといい」
「は…え、それはまた護衛に戻ると…?」
「そうだ。暫くは休暇をくれてやろうと思ったがやはり蘆名がおらんと手が足りんのだ」
「(手が足りん…って、パシらせたいだけだろ。それに…)」
「まだ勘定の仕事が残っておりますので…流石にいきなり戻るのは___」
「そんなもの、お前の代わりはいくらでもいるだろう。他のものに任せてお前は戻ってこい」
上様は箸を置いて呆れ顔でそう言った。
”言わなくてもわかるだろ”なんて言いたそうな顔だ。
戻ってこいも何も、私が戻る場所は真選組なのに。
「ですが…」
「言う事が聞けんか、お前ははいと言えばいいんだ」
「…はい、わかりました」
そんな様子を飯田は奥でニヤニヤしながら見ていた。
飯田に舌打ちしそうになったがギリギリで抑えた。
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時