空座決戦編 揺れる心 ページ7
『イヅル君！』
弾ける声と慣れ親しんだ霊圧に、イヅルは空を見上げる。
負傷した乱菊らの治療を行なっていた彼の元へ、Aが舞い降りてきた。
慌ててイヅルも立ち上がると駆け寄り、自身よりも幾分低い肩をぐっと掴む。
「ご無事で良かった‥！」
あんな無茶な結界を張るだなんて‥っ、と言葉を詰まらせた彼にAは僅かに眉根を寄せた。
掴まれた所から伝わる震え。
口数多くない彼が、自身を心底心配していたという事実が体温と共に流れ込んでくる。
決戦が始まってから、いや、単独任務を言い渡された時から張り詰めていた緊張が少しほぐれた。
なにより、長年連れ添った補佐官と戦場の地で再会出来たことに、酷く安心した。
こんな時、なんだけれど。
『わたしは大丈夫！』
俯いているイヅルの顔を覗き込み笑いかけた。
『ありがとう。みんなを守ってくれて』
「っ、」
驚いたように顔を上げた彼は、Aの顔を見るや否や
いえ‥僕は、と小さく呟く。
『イヅル君がいてくれたから、わたしも自分の任務を果たせたの』
だから、何もしてないなんて言わないでね。
そう続けるAに、イヅルは照れくさそうに視線を逸らした。
再会の感動も早々に、彼の背後を覗き込む。
そこには霊圧が未だ不安定な乱菊と雛森の姿があった。
『・・おねえ、』
ギリ、とAが表情を歪める。
イヅルのおかげで一命は取り留めているが、拍動が弱い。
戦場から少し離したいと思っていたが動かすのも危険な状態だ。
こちらの陣営には負傷者も多い。
九時の方角には京楽や浮竹も倒れている。
なにから優先すべきなのか…。
そう考えてあぐねていたAの背中に静かな声が届いた。
「A副隊長」
聞き慣れたそれにゆっくりと振り向く。
「松本さん達は僕がこのまま治します」
A副隊長は京楽隊長と浮竹隊長を。
不安げな表情ながらも、強く光る瞳。
彼も随分と霊力を酷使しているはずだ。
それでも、そこに立とうとするその意思に背中を叩いてもらえた。
『わかった。ありがとう、イヅル君』
多くは語らない彼の想いは、言葉にせずともわかるから。
口元に穏やかな笑みを浮かべたAが背中を向ける。
ーーーまたあとでね！
いつもと変わらない柔らかい笑顔と言葉を残してAの銀髪が風に舞った。
気を使わせてしまったな、そう思いながらも
「はい、また後で」
その当たり前の言葉を噛みしめるようにイヅルもまた微笑んだ。
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おもち(プロフ) - ううさん» 二週目ありがとうございます（ ; ; ）！現在最初の方から加筆修正中で読みにくい点もあると思いますがぜひいつでも読んでいってください。わたしもギン乱推しなので、二人の妹になりた過ぎてこうなりました笑これからもよろしくお願いします！ (2020年12月20日 0時) (
レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
うう - 全部読んで2周目です。ギン乱推しなのです最高です。ありがとうございます。もっと他の人にも読んで欲しい作品です。 (2020年12月20日 0時) (レス) id: bccb65748a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» 文字が多くて分からずらいとこが多かったですよね（ ; ; ）！読んでくださりありがとうございます！ (2020年9月6日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも - ぶっ通しでしっかり読ませていただきました！！これはもうぶっ通しで読まなきゃいけないシーンですね！！(*´∀｀*) (2020年9月5日 22時) (レス) id: ce0dea41c8 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» そう言っていただけて嬉しいです！ここのお話はどうしてもぶっ通しで読んでいただきたくて、遅くなってしまいました‥（ ; ; ） (2020年9月5日 19時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おもち | 作成日時：2020年8月24日 21時
