検索窓
今日:16 hit、昨日:23 hit、合計:188,199 hit

空座決戦編 10-3 ページ50

一人、未だ沈みきれない夕陽を眺める平子の横から長く影が伸びた

カラン、コロン、と渇いた音がゆったりと響く


「平子サン。」


そこには今し方、尸魂界に飛ばした本物の空座町から現世へと戻ってきた浦原の姿があった


「もう、動いて大丈夫なんスか。」
「・・・大丈夫に決まってるやろ。」


チラリ、と視線が絡まると
すぐに逸らしてしまったその瞳に浦原の表情も曇る


「・・聞いてるんスね。」
ーーー市丸サンのこと。


浦原の問いに答えない平子は
静かに沈黙を貫いたまま、変わらずに夕陽を見つめていた

それが是だと、浦原もその視線を夕陽へと滑らせる


「藍染サンはあの時、霊王の力をAサン達から奪ったと言っていました。」


ボクも詳しい内容まではわからないんスけど、
それは恐らく霊王の爪と呼ばれるものっス。


「霊王の、爪…?」


憔悴した表情で僅かに視線を向ける平子に
夕陽から視線を逸らさぬまま、浦原が答える


「稀に流魂街の住民にいるらしいんスよ。
魂魄に霊王の力のカケラを持って生まれる人が。」


恐らく藍染サンは崩玉を自らの手で作るために、
何十年と研究を重ね、そのチカラを持つ魂魄を探していた。

そして見つけたそのチカラを奪い、崩玉に与えていたんだと思います。


「本来、そんな力を魂魄から抜き取ってしまえば普通の魂魄なら消滅してしまいますが、
" 彼女達 "は死神の資質を無くすことなく、
そのまま副隊長にまで登り詰めた。」


その言葉に平子の表情がひどく歪む


「それが恐らく、Aサンと松本乱菊サンっス。」


その言葉に、頭に過るのは
楽しそうに兄と姉の話をするAの笑顔

彼の握り締めたままの手のひらが
僅かに震えていることを、浦原が視線の隅で捉えた



「市丸サンの様子を見るに、おそらく取り返したかったんでしょう。」


世界を欺いて、服従するフリをして。


「・・・そしてそれは失敗してしまった。」


その言葉に、平子が自身の唇を噛み締める

睨み付けるように夕陽を見つめる瞳に
心とは正反対なオレンジの光が灯った


「・・・Aサンのこと、よろしくお願いします。」


同じように手のひらをきつく握り締めた浦原が
ゆっくりと背を向けて呟いた

その背を一瞥すると、そっと自分の手のひらを見つめてもう一度強く握り締める


「・・当たり前や。」


呟き、立ち上がる平子の透けるような金髪が、
夕陽に染まる空に舞った






空座決戦編 ・ 完

この小説の続きへ→←空座決戦編 10-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
設定タグ:BLEACH , 平子真子 , 市丸ギン   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おもち(プロフ) - ううさん» 二週目ありがとうございます( ; ; )!現在最初の方から加筆修正中で読みにくい点もあると思いますがぜひいつでも読んでいってください。わたしもギン乱推しなので、二人の妹になりた過ぎてこうなりました笑これからもよろしくお願いします! (2020年12月20日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
うう - 全部読んで2周目です。ギン乱推しなのです最高です。ありがとうございます。もっと他の人にも読んで欲しい作品です。 (2020年12月20日 0時) (レス) id: bccb65748a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» 文字が多くて分からずらいとこが多かったですよね( ; ; )!読んでくださりありがとうございます! (2020年9月6日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも - ぶっ通しでしっかり読ませていただきました!!これはもうぶっ通しで読まなきゃいけないシーンですね!!(*´∀`*) (2020年9月5日 22時) (レス) id: ce0dea41c8 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» そう言っていただけて嬉しいです!ここのお話はどうしてもぶっ通しで読んでいただきたくて、遅くなってしまいました‥( ; ; ) (2020年9月5日 19時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おもち | 作成日時:2020年8月24日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。