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空座決戦編 10-2 ページ49

「真子。」
「・・なんや。」


沈んでいく夕陽を眺めるようにして、瓦礫の上に腰掛ける平子にリサが後ろから声をかけた

その身体には頭から爪先まで包帯が巻かれ、未だ全ての怪我が治っているはずもなく
彼が無理をしてそこに佇んでいるのは
誰の目にも明らかだった



「ひよ里は四番隊に運ばれたわ。」
一命は取り留めたけど、あとは本人次第やって。
「・・そうかァ。」

「Aは?」
「・・卯ノ花サンが連れて帰った。」



「・・真子、」
「すまん、リサ。」

ちょっと一人にしといてくれ。


その様子にリサの目が僅かに歪む




「アンタのことや。どうせ自分のせいとでも思うてるんやろうけどな。」

「Aは絶対そうは思うてないで。」



皆気付いていた
普段、気丈に皆を引っ張る平子は
誰よりも優しく、誰よりも誰かの為を思っている事を

そんな彼が、誰よりもこの結果を望んではいないことを。



「・・どんな手を使うてでも、俺が藍染を殺しておくべきやった。」


藍染に初めて会った時、腰に携えた逆撫が珍しくソワソワとしていた
外の世界に興味を持たないヤツが、随分とザワつくもんで
一瞬にしてこいつには裏があると理解した

それから自分の副隊長として藍染を監視していた

シッポを出すまで、そうして泳がせた結果がこれだった



「誰にも理解されんくても、気付いてたんなら成し遂げるべきやった‥っ、」



そうすれば、誰一人傷付かずに済んだ
自分たちが追われる事もなかった
内なる虚に蝕まれる事もなかった
ひよ里だって怪我をする事もなかった

Aがあんな状態になる事も、
・・・・ギンが、死ぬ事もなかった



握り締めた拳が、力なく地面を叩く

震える肩に、リサがそっと目を離した



「・・それでも、アンタのせいやない。」




これ以上かける言葉が無かった

今の平子が求める言葉を、きっと自分は持ち合わせていない

この感情は、悔恨の情は、
藍染が生き続けている間、決して消える事は無いのだから




「・・、後味が悪ぃぜ。」


二人から離れた後方、穿界門を潜る羅武が呟いた




先に瀞霊廷行っとくで。
そう呟いてリサの霊圧が少しずつ離れていくのを背中越しに感じていた


怪我の治療のため、当分の間
仮面の軍勢達には四番隊の一室が当てがわれることになっている



どんな顔をして瀞霊廷へと向かえばいいのか、
未だわからないままでいた

空座決戦編 10-3→←空座決戦編 10-1 徒花の真実



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設定タグ:BLEACH , 平子真子 , 市丸ギン   
作品ジャンル:アニメ
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おもち(プロフ) - ううさん» 二週目ありがとうございます( ; ; )!現在最初の方から加筆修正中で読みにくい点もあると思いますがぜひいつでも読んでいってください。わたしもギン乱推しなので、二人の妹になりた過ぎてこうなりました笑これからもよろしくお願いします! (2020年12月20日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
うう - 全部読んで2周目です。ギン乱推しなのです最高です。ありがとうございます。もっと他の人にも読んで欲しい作品です。 (2020年12月20日 0時) (レス) id: bccb65748a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» 文字が多くて分からずらいとこが多かったですよね( ; ; )!読んでくださりありがとうございます! (2020年9月6日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも - ぶっ通しでしっかり読ませていただきました!!これはもうぶっ通しで読まなきゃいけないシーンですね!!(*´∀`*) (2020年9月5日 22時) (レス) id: ce0dea41c8 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» そう言っていただけて嬉しいです!ここのお話はどうしてもぶっ通しで読んでいただきたくて、遅くなってしまいました‥( ; ; ) (2020年9月5日 19時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おもち | 作成日時:2020年8月24日 21時

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