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空座決戦編 4-4 ページ18

おにぃが出て行ったあの日、わたしは何も聞けないまま
何も伝えられないまま
おにぃは尸魂界を去ってしまった

だから今度は
あの時言えなかった言葉を。


喉が情けなく震える
お願い、もう少しだけ堪えて
わたしの涙


ギンの手首を掴んだままのその手が震えていた
伝わるその振動にギンの目が僅かに歪む



『何も言ってくれなくていい‥、』
連れて行ってくれなくていいから

『もう‥どこにも、行かないで‥っ、
これ以上‥っ、行かないでっ‥』



これ以上、手の届かない暗い場所に
そう震える声で紡がれた言葉にギンの瞳が僅かに見開かれた

見下ろした先にある大きな瞳にはじわりと涙が滲んで
その潤んだ瞳にひどい顔をした自分が写る


「・・・A、」




「ーーーーやれやれようやく折り返しってトコやな。」
のォ、市丸。


突如響くその声にA越しに鋭く視線を逸らせば
刺々しい霊圧を隠さぬまま飛ばす平子の視線とかち合った

背中を向けているAの脇腹から突き抜ける斬魄刀に平子の表情が酷く歪む


その声に顔を向ける様に勢い良く振り向いたAの顔色がみるみる内に青ざめていく



ーーーなんで‥っ、みんな‥


「(ーーーなんや、?)」
その表情に平子が顔を顰めた刹那


「あーあ。死んでまうで、雛森ちゃん。」
『っ、雛森ちゃん!!!』



戦場に響き渡るAの悲痛な叫びに
平子がガバッと振り向いた

そこには今し方、
自分達が倒したと思っていた藍染の姿はなく
日番谷の突き刺したソレは雛森の胸を深く貫いていた


「‥‥雛、‥森‥‥、」

その姿に日番谷の精神が音を立てて崩れ落ちる


藍染と雛森ちゃんが入れ替わっていた‥?
ーーーまさか、まさか、っ


一瞬でAの表情が変わった

ギンの体を突き離すように押しのければ
その衝撃で神槍が脇腹から抜ける

痛みに歯を食いしばり、
振り返って走り出そうとしたAの背中を
後ろからギンの長い腕が抱きしめた


『っ、イヅル君!逃げて!!!』
「くそがっ、!!!」


腕に捕まり、叫ぶA
平子も気付いて振り向くが間に合わない

そこは本来の雛森が治療を受けていた場所


イヅルが、射場が、その凶刃に倒れた

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設定タグ:BLEACH , 平子真子 , 市丸ギン   
作品ジャンル:アニメ
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おもち(プロフ) - ううさん» 二週目ありがとうございます( ; ; )!現在最初の方から加筆修正中で読みにくい点もあると思いますがぜひいつでも読んでいってください。わたしもギン乱推しなので、二人の妹になりた過ぎてこうなりました笑これからもよろしくお願いします! (2020年12月20日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
うう - 全部読んで2周目です。ギン乱推しなのです最高です。ありがとうございます。もっと他の人にも読んで欲しい作品です。 (2020年12月20日 0時) (レス) id: bccb65748a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» 文字が多くて分からずらいとこが多かったですよね( ; ; )!読んでくださりありがとうございます! (2020年9月6日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも - ぶっ通しでしっかり読ませていただきました!!これはもうぶっ通しで読まなきゃいけないシーンですね!!(*´∀`*) (2020年9月5日 22時) (レス) id: ce0dea41c8 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» そう言っていただけて嬉しいです!ここのお話はどうしてもぶっ通しで読んでいただきたくて、遅くなってしまいました‥( ; ; ) (2020年9月5日 19時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おもち | 作成日時:2020年8月24日 21時

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