あなたと生きる世界 ー空座決戦編ー

空座決戦編　3-1 Don't leave me anymore ページ12

空がまるでガラスのようにひび割れる

戦場に立つ全ての者の目が見開かれる



青い空にひび割れた隙間
その向こうに広がる黒は
果たして希望か、絶望か

未だ、誰しも希望を持ち得てはならない
その首へと手を伸ばす絶望は、
未だ始まったばかりなのだから





あなたと生きる世界・空座決戦編3
ーーー Don't leave me anymore ーーー





空座町の上空がガラスの様にひび割れ、砕け散る音が辺りに響く

見開いたその瞳に、降りしきる黒が反射する


『ーーーっ、一護・・、』


砕け散る空の隙間から飛び出したのは
オレンジの頭に真っ黒な死覇装

死神代行・黒崎一護は
両手で握り締めたその斬魄刀で藍染を背後から斬りつけた


ーーーーー！！！！

『っ、』

刹那、辺りを高濃度の黒い霊圧が爆風と共に吹き抜ける

飛び散る瓦礫の破片と砂埃を死覇装の裾で防いだ


「ーーー久し振りだね、旅禍の少年。」


何の抑揚もない、まるで斬撃など無かったかの様な声に視線を向ける


「良い斬撃だが場所が良くない。」
首の後ろは生物の最大の死角だよ。

「そんな場所に何の防御も施さず戦いに臨むと思うかい？」


顔だけで振り向く藍染の首元
そこに僅かな鬼道の残り香が見えた


『ーーーっ、あれは‥、』

高等結界鏡門ーーー！！
首に予め仕込んでいたのか‥、


ひよりへと翳したままの手が変わらず震えている
視線の先には未だ苦しそうに息をするひより



嫌でも頭に過るのは最悪の結末

何も今初めて感じたわけじゃない

何度も何度も、
この戦場に立ったその時から
ずっと感じていた



『‥っ、』
ーー‥っ、わたしは‥何を、考えているの‥っ、


震える手を抑え込む様に自らの右手首を握り締める
俯いてしまう目をギュッと強く瞑った



大丈夫、一護も来てくれた
他の隊長達もいる

誰も諦めていない
誰一人として、生きる事を諦めていない

死を覚悟してここに立ったわけじゃない

生きる為に戦う
生きる為に刀を握る

だから皆、揺れる事なく立ち続けられる



もう一度、強い光をその瞳に写して
Aが空を見上げた




「ーーー俺達が、てめえを護って戦ってやる。」

Aの瞳が追いかけた先

動ける全ての者たちが一護をぐるりと取り囲み
ただ一点、その先の藍染を見つめ続けていた



この戦いは一護に掛かってる
藍染の始解を見ていない彼がわたし達の最後の希望

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