空座決戦編 2-5 ページ11
『ーーーわたしが、』
わたしが、治します‥！
そこに現れた思わぬ人物に平子の目が大きく見開かれる
「ーーーー、A‥！」
来てくれた、と思わず心が跳ね上がる
しかしその瞳を覗き込んだ刹那、
僅かに、それでも確かな恐怖が浮かんでいるのを平子は見逃さなかった
そらそうや
俺らは虚なんてもん混ざってんねんから
跳ね上がった心がすぐに落ち着きを取り戻す
背中を向けて
ぐっ、と斬魄刀を握りしめた
「スマン。」
それでも来てくれた
仲間ではない自分達の為に
「おおきにな。」
それだけ呟くと、その細い背中が風と共に消えた
慌てて駆け寄りひよりの上半身を抱きしめる
荒く、浅く息をする彼女に振動を与えないよう切り離されてしまった下半身の元へ瞬歩で急いだ
本来なら切り離された時点で死んでるはず‥、
これは虚化のおかげなの‥？
暗く、奥深くで混ざり合っている重い霊圧が不安定に揺れている
『ひより、もう少し耐えてね‥！』
切り離された部分を接合する為に両手に霊力を込めた
本来、回道では傷ではなく霊圧を先に治療する
それによって回復した本人の霊圧と
術者による外部からの霊圧で肉体の回復を早める為だ
でも今回はそうはいかない
切り離されたままじゃそもそも呼吸が続かない
酸素濃度が薄まってこのままでは長く持たない
『‥‥っ、』
「はっ‥、はっ、はっ‥は、」
皮膚と臓器をまとめて繋げなければ、本当に手遅れになってしまう
翳した手に、その額に汗が滲む
緻密な霊圧の強弱で一つ、また一つと繋ぐ
絶対に、
絶対に助ける
息も絶え絶えに顔を顰めているひよりに
Aも苦しそうに顔を歪めた
『ーーーっ、』
久しくフル稼働で扱う回道に汗が止まらない
わたしはこんなにも扱うのが下手だったんだと
改めて感じる自分の非力さに目眩がする
はやく、はやく
『‥っ、はやく‥！』
焦る気持ちに歯を食いしばって
その視線を空へと逸らす
そこには斬魄刀を開放したものの、苦戦している平子の姿があった
藍染のその刀が彼の背中を斬り捨てる
その背から噴き出す血にもう一度歯を食いしばった
『ーーー‥、平子‥隊長っ‥！』
Aの声が切なくこだまする
その声に応えるように、
空座町の空が音を立てて割れた
空座決戦編 3-1 Don't leave me anymore→←空座決戦編 2-4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもち(プロフ) - ううさん» 二週目ありがとうございます（ ; ; ）！現在最初の方から加筆修正中で読みにくい点もあると思いますがぜひいつでも読んでいってください。わたしもギン乱推しなので、二人の妹になりた過ぎてこうなりました笑これからもよろしくお願いします！ (2020年12月20日 0時) (
レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
うう - 全部読んで2周目です。ギン乱推しなのです最高です。ありがとうございます。もっと他の人にも読んで欲しい作品です。 (2020年12月20日 0時) (レス) id: bccb65748a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» 文字が多くて分からずらいとこが多かったですよね（ ; ; ）！読んでくださりありがとうございます！ (2020年9月6日 0時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも - ぶっ通しでしっかり読ませていただきました！！これはもうぶっ通しで読まなきゃいけないシーンですね！！(*´∀｀*) (2020年9月5日 22時) (レス) id: ce0dea41c8 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - もももさん» そう言っていただけて嬉しいです！ここのお話はどうしてもぶっ通しで読んでいただきたくて、遅くなってしまいました‥（ ; ; ） (2020年9月5日 19時) (レス) id: 1513b391e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おもち | 作成日時：2020年8月24日 21時
