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浮ついていた気持ちは瞬く間に小さく萎んでしまった。
逢えて嬉しい、なんて思っていた自分に今なら喝を入れてやれる。
やっぱり、昔を知ってるからって親しくしてくれているのだろう。そう思った。
今の十三隊の中では彼と一番近い気でいたけれど、とんでもない思い違いだ。
それはそうか。
彼は今も五番隊の隊長で。今の自分は三番隊の副隊長で。
周りも、彼も、そして自分だって。あの頃とは、きっと何もかもが違う。
『・・すみません、出過ぎた真似をしました。』
「あ〜いや・・、すまん。」
困り顔で微笑むAに、平子は面食らったような顔をした。
途端に謝る彼に、『いえ・・』と小さく返すAが少し考え込む様に手元を見つめている。
スッと息を吸い込んだ彼女は、勢いよく顔を上げると立ち上がった。
合わせて揺れる銀色の髪に、平子の視線も自ずと上がる。
『・・わたし、仕事があるので戻りますね！』
目線は合わせないまま告げられた予期せぬ言葉に、平子はぽかんとした表情を浮かべた。
「は？今、桃が茶ァ淹れて・・」
そう続けた言葉を彼女は遮った。
『すみません、失礼します。』
「おい、ちょ、A！」
半ば駆ける様にして執務室を出て行くAに、平子も慌てて立ち上がる。
無論、伸ばした手は間に合う訳もなく、銀色の背中は音を立てて扉を閉めてしまった。
「・・なにやってんねん」
呟いた言葉と共に髪を雑に掻くと、再びソファへ荒く座り込む。
確かな苛つきは、不甲斐ない自分自身への言葉だった。
咄嗟の出来事に、彼女を引き止める上手い言葉のひとつも出て来やしない。
いつもはヘラヘラと口八丁に物を言うこの口は、今日に限って全くもって使えない。
ローズの気遣いにも、彼女の気遣いにも、気付いていながら何も返せやしない自分が酷く滑稽だった。腹立たしかった。
俯いて頭を抱えている平子には気付かず、雛森が再び執務室から顔を出した。
あれ、Aさん？と訊ねたと同時に随分と肩を落としている自隊の隊長に少しばかり怪訝そうな目を向ける。
「平子隊長、なにしたんですか・・」
「あかんわ・・ほんまにあかん、」
「・・」
「はァ・・」
普段は軽薄な様子が目立つ主君の萎らしい姿に、いつもなら仕事してください！と言える雛森も、今日ばかりは押し黙る他無かった。
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でんでん。(プロフ) - 毎日楽しみで大好きです！ご無理なさらず続きを楽しみにお待ちしております！(^^) (9月8日 2時) (
レス) @page46 id: f6127465a5 (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - いいところで……！！！ (5月17日 1時) (レス) @page46 id: 40e8d62194 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 続きが気になります•••！ (2023年4月26日 20時) (レス) @page46 id: c3f7ca38c1 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(プロフ) - 大好きです続き読みたいです (2023年4月22日 22時) (レス) @page46 id: e23563eff4 (このIDを非表示/違反報告)
マチリ - 最新話まで読ませていただきました。素敵な作品に出会えてとても感動しております。ご無理なさらずに続きを楽しみにお待ちしております。 (2023年2月25日 0時) (レス) id: 7c2370384d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おもち | 作成日時：2021年5月9日 2時
