あなたと生きる世界 ー百一年目を貴方と・５ー

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ーーえ？平子隊長が適当なことばっかり言う？


ある時、雛森は乱菊に相談をしたのだ。
仕事に関しては真面目な態度とは言えないものの、復帰したばかりの自分を気遣ってか良く目を掛けてくださると思う。
集中していると休憩を忘れがちな自分に、「年頃の娘が仕事ばっかするもんやない！」やら、「戸棚に茶菓子入れとるからそれ持ってひと休みしてき！」やら、少し過保護なのではないかと思うくらいには気遣っていただいていた。

が、平子真子という人物は、聞いた事は100答えてくれるのだが、聞いていない事までも上乗せでヘラヘラと喋る人だった。
しかもそれは口八丁なのだ。真実か真実でないかは全くもって彼には興味がない話で、息をするように口から出まかせを並べる事が多かった。

それは前任の藍染とは180度違っていて、比べたい訳ではないのだが随分と勝手が違う事に真面目な雛森は度々困惑していたという訳だ。

そんなある日、ちょうど茶屋で一緒になった乱菊に相談を持ちかければ、彼女は「あら簡単よ〜！」と笑ってこう言った。


「あの人の扱いに困ったらAを呼べばいいのよ！」
「Aさん、ですか？」
「そ。あの子昔っから平子隊長のお世話してるから。転がし方をわかってんのよ。」
「こ、転がし方・・」


何はともあれ、彼には彼女の存在が効果的面だという事だ。
事実、Aが執務室にやって来るとわかれば平子はやたらとソワソワしているし、何やらしきりと伝令神機を見ているかと思えば、「Aからやっと返事が来よったわ。」と溜息混じりに口にする。
無論、誰も聞いてなどいないのに、だ。

平子真子という人物は、常に飄々としていて、どこか胡散臭くて、のらりくらりと立ち回っては掴みどころがない人だと思っていた。

でも最近は印象が変わってきた。
平子真子という人物は、ヘラヘラと口八丁にモノを言うが、存外真面目で、思慮深くて、そしてきっと少しだけ不器用なのだ。

3→←掛け違えてしまった糸　1

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