【イナイレ】フルーツジュース【短編集】

キノット ページ26

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ここはイタリアのとある都市の公園通り

休日だというのに人通りが少ないのは イタリアの温暖な気候によるこの猛暑のせいだろう


「スクージー…！」


私は覚えたてのイタリア語で通行人に声をかけている


スクージーとは日本語で "すみません" という意味らしい。イタリアに着いた日に現地ガイドの方から教えて貰った



なんでそんなことをしているのかと言うと、私は今 まったく知らない場所で 携帯もなく一人 迷子になっているのだ

幸い滞在しているホテルの名前はわかるので、その名前を伝えて道を教えて欲しいのだが…


私はイタリア語が話せない


親切な人が多いのと、まだ子供ということ 外国人だということもあり 私が声をかけると立ち止まり話しを聞いてくれる人が多いのだが 私が身振り手振り、英語を使い説明すると 首を傾げたり手を挙げたりして 申し訳なさそうに立ち去っていくのだ



イタリアは日本と同じくらいの英語の普及率らしい。
しょうがない事だが、非常にまずい。
今日は滞在最終日でホテルに戻って帰国準備をする予定だったのだ

一緒に来ている両親は私が「お土産みてくる」と言ったときに止めてくれたのだが、こんなことになるなら辞めておいたら良かった





炎天下に数十分立ちっぱなしで体力的にもキツく、そろそろ諦めかけていた その時



「どうしたの？」



背後から英語で声をかけられる

バッと振り返ると、同い年か年下ぐらいの男の子が立っていた。

顔立ち的に現地の人だろう


「あ、あの、道に迷ってしまって…」


「それは大変だ! とりあえず、日陰に入ろう」



やっと英語が通じる人に会えた…
安心し、彼について木陰に入る


「それで どこに行きたいの？」


「えっと、 ○○ っていうホテルに」


「○○か!ここから10分くらいだよ。でも今の時間あの辺は混んでるだろうし、送っていくよ」


「えっ10分???って いやいや!!そんな申し訳ない!」


「また迷ったら大変だし、俺も同じ方向に行く予定だったから」



本当に申し訳ないと思うが、1人でたどり着ける自信が全くないので 彼の言葉に甘えて案内してもらうことにした。

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