55話 ページ10
夏休み明けそうそう濃い一日だった……。
渋谷玲夜の車にまた乗せられて、家に着いた最初の感想はこれだった。私はベットへと部屋へ入るとすぐダイブした。
周りのみんなにはバラされるわ、公開キスされるわ……。野球部のみんなにもちゃんと話したいけど……どこから話すべきなのだろうか。特に3年のみんなには誤解されたくない。
(明日、話せる時間があればいいな。)
でも、御幸にはちゃんと話せてよかったと思う。自分の想いも大切にしたいと思えた。それに…戻るべき場所を見つけたから。
新たに決断する。頑張らなければいけない……と。
ベットから体を起こし着替えをしようとすると、扉を叩く音がした。誰が来たのかを見るために扉の前へ行き扉を開ける。
そこにはーー……。
「中に入れてちょうだい……。」
姉がいた。
この人が私の部屋に尋ねてくるのは初めてだった。幼い頃を含めても……。それくらい私は嫌われていたから…。
…しかも、こっちにまた住むようになってからしっかり話すのは今日が初めてかもしれない。あの時の電話では少し喋ったが、それ以来は全く話してすらいない。
……姿を見たのも私がこの家に来いと言われた日以来だ。
だからといって外に放置という訳にもいかず、中へと入ってもらう。
内心はバクバクだ。この人にされた扱いは散々なものだったから……。
「なんの御用ですか……。」
「…あなたのスマホを見たの。」
「!?」
この人はプライバシーという言葉とデリカシーという言葉を知らないのだろうか。回収された挙句見るとは……。
しかし、ぶちギレたところで何も変わらないのは知っている。冷静に冷静と心で唱え続け会話を続けた。
「…楽しそうね。学校生活が。」
「ええ、楽しいですよ。」
そう答えた瞬間姉の表情が激変した。
凄まじい目付きで私をにらみつけ、いつ襲いかかってきてもおかしくないと思った。
「いいわねあんたは…。愛人の娘のくせに、私のママを殺したくせに……!!みんなに愛されて、幸せそうに暮らしてっ……!!」
そしてそのまま私の胸倉を掴みかかった。
『愛人の娘』とか『ママを殺した』と言われても「…楽しそうね。学校生活が。」
「ええ、楽しいですよ。」不思議といつもよりは傷が浅かった。……御幸のおかげだろうな、なんて思っていたが、それどころではない。
「なんで、あんたがっ!!」
寧ろ勢いがヒートアップしていくばかりだった。
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年1月26日 0時