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48話 ページ3

「長い話になるよ……?」


「……うん。話してください。」



2人で教室の壁に寄りかかりながら話す。……何故か手を御幸に繋がれたまま。


そして、私は昔の記憶と高橋さんに聞いた話を思い出しながら御幸に話を始めた。


「まぁ、知ってると思うけど私の家芝山財閥なんだ。私は芝山財閥の血を引く母の2人目の子供。
……姉がいるの。でも、半分は血が繋がってない。なんでだと思う……?」


御幸に問うと首を傾げた。


「…正解は私が愛人の子だから。」


そう言うと御幸は目を見開いた。まぁ、そう反応するのが普通だろう。それに拒絶されたっておかしくない。


「幻滅したか……?」

「…いや、ただ少しびっくりしただけです。」


御幸の言葉に安心して話を続けた。


「まぁ、愛人の子って言うのはおかしいのかもしれない。お母さんの本当の旦那さん…要するに私の義理の父親にも当たる人とは政略結婚ってやつでお母さんとその人の間に愛なんてなかった。

でも、私のお父さんとお母さんはね、ちゃんと愛し合ってた。2人は大学が同じだったらしいの。お父さんはプロ野球選手目指してて、お母さんはそんなお父さんを応援してたらしい。

けど、地位も名誉もない一般人のお父さんを誰も婿として認めてくれなかった。…2人は駆け落ちすら考えた。でも、それが出来なかった。お母さんのお母さん……私のお婆ちゃんが厳しい人で駆け落ちすらしようとした母を屋敷から出られないよう閉じ込めた。それから数年、2人は会うことを許されなかった。その間にお母さんは無理矢理結婚させられ、姉を身ごもった。……お父さんはプロの世界に入った。」


「先輩のお父さん、プロ野球選手だったんですか…。それは知らなかった…。」


「ああ、しかも青道出身のね。」


「!?」


信じられないといった反応をする御幸に笑いながら、話を再開した。



「お父さんがプロ野球選手になったことをテレビで知ったお母さんはこっそり家を抜けて、会いに行ったらしい。」

「無茶するあたりお母さんとそっくりですね。」

「…やかましい。

まぁ、それで2人は再開した。それから何度もこっそり会い続けてお母さんのお腹には私ができた…。でも、産むことをお婆ちゃんは許さなかった。だから、お母さんは家を出てお父さんと一緒に住むようになった。」


手を繋ぐ手に力が入った。


「数ヶ月後、私が産まれた…。産まれたけど、それと引き換えにお母さんは命を落とした……。」

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作者名:時雨 | 作成日時:2019年1月26日 0時

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