非恋愛対象2 【御幸一也】 (ページ1)

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46話ページ1

御幸の腕を振り払った私は教室へ逃げていくように向かった。

3年の階へ上がると、廊下を歩いていた野球部に「あの男誰だ！？」と話しかけられたりしたが何も返さず、ただひたすらに教室を目指した。

教室へ着けば直ぐに席へ着く。既に教室にいた同じクラスの野球部、純と亮介が先程のことについて色々質問しようとするが、私は机に伏せてそれすら遮った。

ごめん、ごめん……と心の中で謝ることしか出来ない。

そんな私を見て離れていく2人。…こんな態度じゃしょうがないと思いつつも、そばにいて欲しかったと思う私は矛盾の塊だ。

そして、しばらくすると教室が黄色い関西に包まれた。

それで一瞬でわかった。渋谷玲夜が来たことが。

「……A置いてかないでよー！」

先程の態度とは一変した渋谷玲夜。腹を立てつつも、顔を上げる。そこには、完璧に作った性格の渋谷玲夜がいた。

そんな渋谷玲夜は私の耳元でボソッと呟いた。

「俺を置いていった罰ね？」

私の腕をつかみ、無理矢理立たせる。そんな私にはにクラス中の目線が集まって痛い。

全員がこちらを向いているのを確認して、渋谷玲夜は口を開いた。

「なんとなく気付いた人いるかもしれないけど、Aは俺の許嫁だから、手出さないでね！！」

クラスじゃない人も廊下から見ていて渋谷玲夜の発言を耳にしていた。

「お前！なんでバラしてっ……！」

「この方が面白いでしょ？」

「ふざけやがって……！｣

私が怒るのを見て楽しそうに笑う渋谷玲夜。腹立たしいが、ここでまた反抗すれば今度は何するか分からなかった。

……そんな時

「おい、アンタ！さっきのはどういうことだよ！」

と叫んで3年の教室に入ってきた御幸。私の位置からは顔は見えないが、すぐに御幸だとわかった。

渋谷玲夜は「あれ、また来たの？」と笑顔で返している。…もしかして、私がいなくなった後に何か話したとか？私は渋谷玲夜が余計なことを言っていないことを願った。

……しかし、そんな願いは叶うことがなかった。

「だから言ったでしょ？芝山Aは俺の許嫁だって」

御幸にバレてしまった……。私の体はこの前のように固く動かなくなる。

そして、渋谷玲夜はそんな私に気づいてそのまま

キスをした……。

「！？」

「テメェｯ！！」

私の頭は真っ白になる。御幸に見られたこと、好きでもない男にキスされたこと……。

私は渋谷玲夜の体を押し返して、口を拭きまた逃げた。