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血圧測定、血液検査、身体計測、レントゲン撮影。
他にも様々な検査を行い、全てを終えた頃には誰もいない待合室のソファでぐったりとだらしなく横になっていた。
Aの診察結果は至って健康。言う事なし。
今はスザクがセシル同伴の元 結果を聞いているところで、待っている間は特にすることがなく、ボーッと壁に貼られた医療ポスターを眺めていた。
「 お、注射が怖くて泣いてたセンパイじゃん 」
「 泣いてないから！ ちょっとべそかいただけじゃん！ 」
「 似たようなもんだろ 」
そこへやってきたのは、同じく検査を終えたレオだ。
彼は整備士のためメディカルチェックは義務付けられていないのだが、何があるか分からないからとセシルに勧められ、自主的にここにいる。
結果はAと同じく健康そのもの。
「 …何だ、元気そうだな 」
「 へ？ なんで？ 」
「 トウキョウ湾のこと、気にしてるかと思ったんだけど 」
先日のトウキョウ湾での作戦は片瀬も流体サクラダイトも失い、さらには兵力を削られ散々な結果であった。
黒の騎士団の新型ナイトメア── 紅蓮弐式。
持ちうる全てを出し切ったにも関わらず、Aのベディヴィエールは互角の勝負の末、相手に逃げられてしまった。
悔しい気持ちは、もちろんある。
「 すごく悔しいよ。お互いに背中を任せて、スザクはゼロを仕留めたのに、私は… 」
「 いや、ゼロと比べたらあの新型のパイロットの操縦技術はずば抜けてる。それに 」
「 違うっ 」
励ましているつもりはなく、ただ事実を述べただけだったレオには、否定される理由が分からなかった。
口を閉じて言葉の続きを待っていると、やがてAはもう一度 小さく「 違う 」と呟く。
「 確かにあのパイロットは只者じゃなかった。だけど、あの新型と戦っていたのが私じゃなくてスザクだったら？ 」
「 もしもの話をしても仕方がないだろ 」
「 スザクだったら、きっと勝ってたよ。…あは、馬鹿みたいに訓練しても意味ないじゃん 」
スザクの前では隠していた暗い一面。
一度 曝け出してしまうと止めることが出来ず、年下相手にポロポロとたくさん弱音を吐いた。
「 なあ 」
「 なに？ …んむ 」
レオに呼ばれて振り向くと、大きくてゴツゴツとした手がAの頬を掴む。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
