写真 ページ16
「ねえ、無月さん。写真撮ろうよ」
ある日、治が
「いや、僕がここに来て随分経つけれど、写真とか撮った事無かったじゃない。だから取りたいな、って思って」
「うふふ。撮ってあげたいのは山々なのだけれどね。私、撮影拒否なのだよ」
「何で?」
「そりゃあ、写真は残って仕舞うだろう?もし、誰かが落として其の写真を見てしまったら世の中の女性は私を探し始めて仕舞う。私、女性にも追いかけられるのはもう懲り懲りなのだよ」
一体、無月は何をして女性に追いかけれらたのだろうか。少なくともそこが気になる所だが、治は深くは聞かなかった。
無理強いはせず「そう」とあっさり引いた。
「本当は、私が生きていた、其の事実を残したくないだけなのだけれどね」
そう云うと無月は机に置きっぱなしにしてあった本を読み始める。だから気づかなかった。こっそり治が無月の写真を撮っている事に。
「厭だ、と云われるとやりたくなってしまうのが人間の性分なのだよ、無月さん」
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