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写真 ページ16

「ねえ、無月さん。写真撮ろうよ」


ある日、治が撮影機(カメラ)を持って無月に云った。無月は一瞬キョトンとした顔になったがすぐ様笑って「何だい急に?あ、もう然して私の美貌でも撮りたくなったのかな?」と云った。勿論、治からは冷たい眼差しが送られすぐ様泣き真似を披露することになる。


「いや、僕がここに来て随分経つけれど、写真とか撮った事無かったじゃない。だから取りたいな、って思って」
「うふふ。撮ってあげたいのは山々なのだけれどね。私、撮影拒否なのだよ」
「何で?」
「そりゃあ、写真は残って仕舞うだろう?もし、誰かが落として其の写真を見てしまったら世の中の女性は私を探し始めて仕舞う。私、女性にも追いかけられるのはもう懲り懲りなのだよ」


一体、無月は何をして女性に追いかけれらたのだろうか。少なくともそこが気になる所だが、治は深くは聞かなかった。

無理強いはせず「そう」とあっさり引いた。撮影機(カメラ)を直しに行く治の後ろ姿を見て無月はポツリと小さく呟く。


「本当は、私が生きていた、其の事実を残したくないだけなのだけれどね」


そう云うと無月は机に置きっぱなしにしてあった本を読み始める。だから気づかなかった。こっそり治が無月の写真を撮っている事に。


「厭だ、と云われるとやりたくなってしまうのが人間の性分なのだよ、無月さん」

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作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月1日 2時

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