雨の日 ページ12
ザーザーと雨が降っている。
傘もささずに歩いていた。
外套は水を吸収し重くなる。
それでも気にせず歩いていた。
・
ザーザーと雨が降っている。
傘もささずに眺めていた。
着ていた服は水を吸収し重くなる。
それでも気にせず眺めていた。
・
「そんな所で何をしているんだい?」
無月は何処を見ているのか分からない少年を見て声をかけた。少年は何も答えない。
「綺麗な赤髪だねえ。地毛かい?」
少年は何も答えない。無視をされていると分かっていても無月はめげなかった。と云うか無視は日常的に治にやられている事なのでそんなちっぽけな理由じゃあめげる理由にはならなかった。
「私は無月、太宰無月って云うんだ。君の名前も教えてくれると、お兄さん嬉しいなあ。
漸く少年は動いた。
無月の前にいた筈の少年は気がつけば無月の後ろに移動していて、何も持っていなかった筈の右手には銀色に光る
ツゥーと無月の首筋から赤い液体が流れているのだろう。首筋に巻かれていた包帯が赤に滲んでいた。
「ふふっ、そのまま私を殺してくれるかい。私はその方が嬉しいなあ」
「…………」
無月は目を伏せ、小さな声で何かを云う。其れも後にいる少年にも聞こえないぐらいの小さな声で。
「…私が何て云ったのか知りたいのかい?厭だよ、教えなあい。秘密だ、秘密。男は少しミステリアスな方がモテるのだよ。君も記憶しておくといい」
「…………」
「殺さないのなら離してくれるかい?痛いだけで一向に死ねないのが一番厭なんだ」
無月がそう云えば少年は大人しく無月を離した。
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