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津島修治 ページ8

酒場(バー)『Lupin』。そこに織田作之助と太宰治は酒を呑んでいた。


「織田作、最近楽しいことでもあったのかい?顔が嬉しそうだ」
「面白い奴と出会った」


織田作はそう云うと酒を一口口に含む。カランと織田作の酒杯(グラス)の中に入っていた氷が動いた。


「面白い奴?織田作がそんな事云うなんて珍しいねえ。どんな奴なんだい?私も興味が湧いてきた」
「お前と似た奴だ」
「私と?」


太宰は自分を指さす。すると織田作は「嗚呼」と云って頷いた。


「趣味から容姿、喋り方迄全てお前と似ている。違うとしたら外套の色位だろう。彼奴は砂色の外套だ」
「其れ、本当に大丈夫な奴なのかい?もう然したら私に化けているだけかもよ?」


太宰が疑いの眼差しで織田作を見ると織田作は一言「否、其れは無いだろう」と太宰の言葉を一蹴した。


「俺が彼奴の考えている事を知っている訳では無いし、素性だって知ってるようで知らない。だが断言出来る。彼奴は大丈夫だ」
「…如何して断言出来るのさ」


織田作にあんなに信用されているからか太宰はフイと外方を向くと口を尖らせ聞いた。


「初めて逢った時の彼奴の顔が忘れられないんだ」


「触ってしまったら壊れそうで儚い。そんな表情を俺に向けていた」織田作は酒杯(グラス)を見つめ乍云った。


「ふーん、名前は?」
「津島修治と云うらしい。今は俺の家で住んでいる」


ガタンと大きな物音がした。物音の原因は太宰が勢いよく立ったせいで太宰の座っていた椅子は倒れてしまう。


「えー!?津島って云う彼、織田作の家に上がって住んでるのかい!?私だって未だ入ったこと無いのに!!」
「彼奴は面白い奴だ。是非太宰の時間が空いたら逢って欲しい」


織田作はフッと笑った。そんな織田作を見て太宰は大声を出す。


「あー!!こうなったら自棄だ!酒場主(マスター)!洗剤入りカクテル頂戴!!」
「残念乍そのような物は置いてません」
「置いていないなら仕方ないな」
「じゃあ硬い湯豆腐!!」
「有りません」
「湯豆腐なのに硬いのか?」


織田作が太宰に聞くと太宰は湯豆腐のことについて熱弁し始める。そんな光景を見て織田作は此処に津島が居たらどうなるのだろうと考えた。


(太宰と津島は気が合いそうだ)

「そうか。今度其の湯豆腐食べてみたいな」
「仕方ないなあ。織田作の為に作ってあげてもいいよ」

とある洋食店→←津島の推理



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wayu0112(プロフ) - こういう話好きです! (2019年11月8日 0時) (レス) id: 3e063600b4 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - とても面白かったです。更新楽しみにしています!! (2019年7月13日 22時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年2月16日 15時

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