逝った先は――【文豪ストレイドッグス】 (ページ6)

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黒い外套に黒髪の蓬髪頭の男ページ6

「君達一体そこで何をやっているの？」

黒い外套に包まれた黒髪の蓬髪の青年が麻薬の密売をしていたポートマフィアの端くれに声を掛けた。

端くれは大きく肩を揺らし目を見開く。端くれの方が明らかに年齢も体格も上なのに目に映るのは恐怖と云う感情だった。

黒髪の青年は外套を揺らし再び問う。

「君達一体そこで何をやっているの」

大きな威圧。そして殺気。一歩でも動いたら自分の心臓がもぎ取られる感覚に端くれは陥った。端くれの呼吸が荒くなる。そして自棄(やけ)を起こした。

端くれは懐から拳銃を取り出す。安全装置(セイフティ)を解除すると震える手で黒髪の男に標準を合わせる。黒髪の男は笑った。

「君が私を殺して呉れるのかい？」

端くれの手は震えている。標準は中々合わさりそうには無かった。黒髪の男は楽しそうに笑っていた表情を一転させ呆れた表情に変わる。

「時間切れ(タイムオーバー)だよ。残念だ。折角私を殺して呉れると思って居たのに」

一歩、一歩と黒髪の男は端くれに近づいていく。

「まあ、君に殺されるなんてゴメンだけどね」

そう云うと懐から出した黒光りする拳銃で撃ち、端くれを殺した。脳天を狙った為即死だった。脳天からは大量の血が出てくる。そんな光景を光を映さない真っ暗な目で黒髪の男は暫く眺めていると携帯電話を取り出し電話を掛けた。

「…裏切り者を粛清した。回収を宜しく」

一言。そう告げると電話を切る。そして大きく溜息をついた。

「コレ、慥か中也の部下だったよねえ。…本当やめて欲しいよこんなの」

死体を蹴り上げると黒髪の男はその場を去っていく。

黒髪の蓬髪頭、彼この時代の『太宰治』也。