第4話 ページ5
「何で俺が……！」
「でも人のご飯に文句言うだけ言って何もしないって…ねぇ？」
「そーそーまーくんだったらOKしてるのになー」
「アイツと比べんな！」
「瀬名先輩！人のlunchにケチを付けるとは……！許されませんよ！！」
「つまり便乗して自分のご飯にケチを付けるなってこと？チョーウザイ」
「じゃあコイツのご飯の話は終わりだな」
「ちょ、それはダメでしょ？！」
「じゃあお弁当作ってあげて泉ちゃん」
めっちゃトントン拍子で話が進んでしまっている
これは止めなければ……！！
A「あ、あの！私は別にお弁当は…………」
「分かったよ！！作ればいいんでしょぉ？！作れば！！」
A「……え？」
承諾した！？
なんで？！
「アンタ好きな弁当のおかずは？」
A「お弁当の……おかず？」
分からない
お弁当なんて作ってもらったこともないし作ったこともない
だから普通のお弁当に何が入ってるかが分からない
A「分かりません……」
「はぁ？自分の好みも分かんない訳？変なやつ」
変
そうかもしれない
両親を早く無くした私は親戚に愛情を込めて育てられる訳もなく高校になったら家を追い出された
それを不憫に思った遠い親戚が援助をしてくれたおかげで今がある
普通の家庭じゃない私が変じゃないわけが無い
そう考えると涙が出てくる
「ちょ、泣くことないでしょぉ！？」
「あー！ちょっとナッちゃん見てよ。セッちゃんが女子泣かしてるー」
「ちょっと泉ちゃん！女の子を泣かせるなんて最低よ！」
A「大丈夫…です。すみません。あ、あの用事あるので帰りますね」
「あ、ちょ……」
静止の声を振り切り、家に帰る
A「……変……かな？」
鏡にそう問いかける
もちろん答えてくれるはずもなく振り絞った声も部屋の中に消え、泣き疲れた私は眠りについた
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作者名：みくる | 作成日時：2023年7月13日 1時
