20:少年 ページ20
珈琲豆の買出しついでに、寄り道して帰るのが私の日課だった。
「服屋は……こっちかな?」
相変わらず道が分からず適当に歩いていく。
……と、大通りから逸れた道に出てしまった。
暗くて、道は細い。
建物と建物の間のようで光が射さず、遠くの方で賑やかな声が聞こえている。
その方向へ足を進めようとした瞬間、
「……だれ?」
誰もいないと思っていたはずの通路から、か細い声がした。
ビクリと肩を振るわせれば、腰に巻き付く小さな腕。
「どうして君はここにいるの……?」
「ここが僕の居場所だよ」
声的に男の子だろうか。
腕を優しくほどき、向き合う。
少年は綺麗な黒髪をしていた。
けれども左眼に横切る包帯と、汚れた衣服から親がいないのだろうと予測する。
その瞳は希望を失って、澱んでいた。
「お腹、空いた……」
「何も…食べてないの?」
「お金が無いから」
「そっか……じゃあ、このペンダントあげる。宝石商に売ればいいわ」
それは、シンドリアに来て初めて暗殺を行った日の報酬。
あのルビーのペンダントだった。
「いいの……?」
「私は要らないもの。キミが貰ってくれるならお姉さんは嬉しいんだけど……」
「ありがとう!」
パァっと輝く少年の顔。
笑顔を見せて走っていった。
「あーあ、今月も生活が苦しくなりそうだな」
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棗(プロフ) - リペアさん» ありがとうごさいます!嬉しいです!喜んで受けさせていただきます!(`・ω・´) (2015年3月28日 19時) (レス) id: d13c5b8c4a (このIDを非表示/違反報告)
リペア(プロフ) - とっても面白いですねっ(´∀`*)/ あと、友希です(笑)申請しますので気が向いたらよろです!! (2015年3月27日 0時) (レス) id: f130a9e1a5 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみみ*。(プロフ) - 棗さん» そうですね…(´∀`) (2014年8月16日 22時) (レス) id: 12de84e996 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ねこみみ*。さん» こみゅ〜で申請した方がいいですか? (2014年8月16日 22時) (レス) id: d13c5b8c4a (このIDを非表示/違反報告)
ねこみみ*。(プロフ) - 棗さん» お願いしますっυ(`・ω・´)υ (2014年8月10日 23時) (レス) id: c638ddceb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2014年8月5日 22時