#232【達成】 ページ42
NOside
「“野狐”の傍に居る狐はなんだ・・・」
「アイツはオレより先にラクさんと共にいた
ラクさんが死んでから見てねー
そこら辺でのたれ死んでるか、新しい主人を見つけただろーな」
「お前はこの先どうする気だ」
「その前に“毒蜘蛛”のクインケはオレにくれんのかよ」
地面に膝をつけていたコブは立ち上がり、柳下を睨み付ける。男が(女もだが)土下座をするなんて屈辱以外存在しない。
「分かった、“毒蜘蛛”をお前にやろう」
「・・・そうか、・・・・・・・・・・・・ありがとう」
素直にお礼を言うコブに柳下を含め〔CCG〕の捜査官たちは驚きで目を見開く。
感謝を知らないような姿をしているコブだからか、“喰種”だからか。
「ラクさんに言われてんだ、礼を言うのは大切だってな」
クルリと方向を変え、コブは歩き出す。コブを取り囲んでいたが無意識に〔CCG〕の捜査官たちは道を開ける。
「おい!お前はどうする!!
ワシの問に答えろ!!」
「死ぬんだよ!!“野狐”の所に行くんだ!!
こんな晴れやかな気分なんて久々だ!!」
声だけで嬉しそうな気持ちが伝わる、爽快になるほどの大声でコブはどこかに向かって行った。
ある日から“毒蜘蛛”の赫包で作ったクインケは使い手を殺すようになった。それがコブの仕業なのか、“野狐”である影乃の信念なのか誰も口にしなかった。
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ブクブクと気泡が上へ上へと上がる姿をコブはぼんやりと見ていた。
柳下と別れた後、コウの所に戻るのもよかったが、最後の別れをしたのに戻るのはコブのプライドが許さなかった。
2区の“喰種”が居たなら自分を喰えと言えたのにもう誰も居ない。
(ラクさん・・・今、そっちに行きます)
己の役目は無事に終えた。更に影乃の叶えられなかった“毒蜘蛛”のクインケは手には入らなかったが、くれると言ったので後は影乃に会ってどうするか訊けばいい。
影乃はあの世を否定していたが、有馬から助けてくれた感覚で影乃はどこかの世界に居ると信じている。
(この世に悔いはねー・・・・・・
A、またアンタの隣に立ちてェ)
お前は俺の自慢の“盾”だよ
辺りを見渡しても見えるのは岩や泳ぐ魚など、自分勝手な幻聴にコブは
深い深い海の中、コブは静かに息を引き取った。その顔はとても優しく微笑んでいた。
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時