#233〈呪縛〉 ページ43
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あの女が鎖で縛られていた魂を解放すると俺の周りをふよふよと浮いている。
「ラクさま、赫子が出ましたね」
「俺の身体からじゃねーから俺の赫子なのか疑問だけどな」
俺の赫子なのかは知らんが、尾赫は消え去った。
「コサメ、俺はなあの女のお陰で「影乃楽」が生まれたんだ」
「え」
親父とおふくろと弟の魂を優しく、壊れないように抱き締める。瞼を閉じると三人分の魂を感じる。
「・・・やっと、あの女から救えた」
両親の魂は擦り切れ、弟の魂は弱々しい。
「ラクさま、あれはコブ殿では?」
「・・・あァ、アイツも来ちまったのか」
燃える炎のように真っ赤な魂。確かにコブと言われれば納得する魂だ。三人分の魂を片手に抱きながらコブの魂を引き寄せる。
「おいで、コブ」
俺の声に反応したのか風に吹かれるように魂が来た。指に触れると魂は人の形になる。
「ラクさん・・・」
「お前の話、聞かせてくれよ」
目的も無く歩くのは疲れた。割れた空間から覗く異世界をたまに見ながら、コブとコサメと仲良く座る。
「そうだ、“毒蜘蛛”を柳下からもらったッス」
────え?
「“毒蜘蛛”を柳下から貰った?」
「あァ
だけどオレもアンタも死んじまったからどうすんだ?」
そうか、“白鳩”からアイツを取り戻せたのか。
「・・・そうか」
座禅のように足を組み、目を閉じ念じる。強く念じるとふわふわとした感覚にどこかの倉庫が見える。
突き進むイメージをすると、あるクインケが光り、アピールしていた。
「あァ・・・俺はこの時を待ち望んでいた」
ゆっくりと深呼吸をして、光っているクインケを
壊しはしない、いつか俺は再びあのクインケを手に入れる為に生まれるのだから。
ゆっくりじっくりと俺の想いを送り続ける。
どこかで空間が割れ、何かが落ちる音がした。
ゆっくりと目を見開き、「ふー」と息を吐く。
「これで目的は達成された
俺のやる事は無くなったな」
「これからどうされますか?」
「そうだなァ、気長にのんびりとお喋りしながらコウを待つか────」
ゆっくりと三人分の魂とポチの魂を抱き締める。
ここの時間感覚は分からず、正確に機能する事はない。
「気まぐれに人助けするか」
少しぐらい良い事しても
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時