冒険の傷痕:8 ページ10
部屋に残された少年は、カミュは焦りすぎなんだよと独り言ちた。
「…ボクはイレブンっていうんだ。あっちの青いツンツン頭はカミュ。あ、聞いてよ、カミュってば君が倒れたのを見て血相を変えて教会に行くぞ!なんて言ってさ──」
「馬鹿、そういう余計なことは言わなくていいんだよ」
聞いていたのか聞こえていたのか、青年──カミュは、心底嫌そうな顔を覗かせた。
さっきといい今といい、言い合いをしても微笑ましいと思うくらい二人は仲が良く見える。
少年──イレブンの話を聞きながら、以前からずっとこの二人は一緒に旅をしてきたんじゃないかな、そうじゃないにしても長年の付き合いだったりとかするかもなぁ、と二人の関係に思いを馳せた。
相棒、みたいな感じだろうか。
三年前の、私とお兄ちゃんみたいだ。
そう、無意識にイレブンとカミュを重ねていた。年齢差は違えど、こんな風に口喧嘩をすることもあったし、魔物に襲われかけていた幼い子供を助けたこともあった。
『お兄ちゃんはどこまで旅をするつもりなの?』
『うーん、分かんねえけど』
『あの地平線の先まで行きたいな、』
『…ずっととおいところにあるよ?』
『だからだよ。
地平線なんて、飛ぼうが潜ろうが見えてるだろ?…俺はな、ずっと旅をしてたいんだ』
『じゃあ、じゃあAも付いてく!』
『お、いいぞ!じゃあ今日からAは、
──俺の"相棒"、な!』
「…」
「…ごめん、ボクばっかり話しちゃったね。大丈夫?…あ」
ぱちぱちと瞬きをした後、名前を聞くのを忘れてたよ、とイレブンはほわほわと笑った。
あぁ、やっぱり訂正。私とお兄ちゃんみたいだって思ったけど、私はこの人みたいに笑えない。
「君の名前を教えてよ」
「…私の名前は、」
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千織(プロフ) - チロル/CHIROLさん» チロルさん、初めまして!有難いコメント、とても嬉しいです…!これからも精進していくので、見守って頂けたらと思います! (2018年11月3日 7時) (レス) id: 43a89afe6e (このIDを非表示/違反報告)
チロル/CHIROL - はじめまして!ドラクエファンなので、ドラクエの夢小説を書く人がいるのか!と驚き拝見させていただきました!掴みにくい世界感を表現されていて千織さんはすごいと思いました!これからもがんばってください! (2018年11月2日 22時) (レス) id: f7aec74604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千織 | 作成日時:2018年10月29日 20時