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冒険の傷痕:17 ページ19

「「ふしぎな鍛治台?」」


イレブンとカミュが会う経緯を聞いていたところ、思い出したようにカミュが荷物の中から取り出したのがそう呼ばれたものだった。
なんでも、少し前に出会ったデクという人とカミュが世界中を巡っていた頃に盗んだというお宝だそうだ。


「汗水垂らして鍛治に励むのは柄じゃなくてな。あまり使ってなかったんだが、イレブンなら使いこなせる気がするんだ」
「だってイレブン。…使えそう?」


興味津々に鍛治台を眺めていたイレブンは、子供のように目を輝かせてコクコクと頷いた。


「ふしぎな鍛治をするには作りたい装備の素材と専用のレシピが必要なんだ。素材とレシピはやるから、試しに作ってみろよ」
「うん」
「楽しそうだね、これ。私は器用じゃないから出来ないと思うけど」
「装備が出来たらAにもあげるよ」
「うん?嬉しいけど後でやってみる?とかじゃないんだね、うん。ありがと」
「んじゃ、イレブンがやり終わるまでそこで待ってるか」
「うん」


再び丸太に座ると、私は思い出したように口を開いた。


「イレブンとカミュって、結構長く一緒に旅してるのかと思ってた」
「なんでだよ?」
「仲が良く見えるし。数日前に出会ったばかりだとは思えないなって」
「そうか?でもあいつはオレのことをまだ少ししか知らないし、オレもあいつのことはほんの少ししか知らねえよ」
「…そっか」


閉ざした口を、カミュは再び開いた。



「お前はなんで旅してるんだ?」
「え?」
「預言を貰ったのは一年前だろ?なんで三年前に村から抜け出したんだ?」


まだ子供だろ?と付け加えたカミュに、ただ私は、


「…村で暮らしていくのに、嫌気が差したから。それだけ」


そう言うしかなかった。

それだけなのだ。
それ以上もそれ以下もない。

ただ…嫌気が差した原因を言えば、この人はどんな顔をするだろう。

同情する?哀れに思う?それとも蔑む?見下して嗤う?

そんなことはないと思う。
そう願う。
この人だけは"あいつら"と同じになって欲しくない。

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設定タグ:ドラクエ11 , 女主   
作品ジャンル:恋愛
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千織(プロフ) - チロル/CHIROLさん» チロルさん、初めまして!有難いコメント、とても嬉しいです…!これからも精進していくので、見守って頂けたらと思います! (2018年11月3日 7時) (レス) id: 43a89afe6e (このIDを非表示/違反報告)
チロル/CHIROL - はじめまして!ドラクエファンなので、ドラクエの夢小説を書く人がいるのか!と驚き拝見させていただきました!掴みにくい世界感を表現されていて千織さんはすごいと思いました!これからもがんばってください! (2018年11月2日 22時) (レス) id: f7aec74604 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千織 | 作成日時:2018年10月29日 20時

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