十八 ページ20
さて、もうそろそろこの頑固者をどうにかしなければならない。
後輩達が部屋から去ってから結構時間が経っているにも関わらず、一向に仕事を止めようとしない委員長のことが私は心配でならなかった。
(もうすぐ寅の刻になる頃だろう)
文「A、お前ももう戻って寝ろ」
『……はい?』
文次郎の口から出た言葉に呆然とした。
貴方がそれを私に言うんですか?、と。
『それはこちらの台詞ですよ。一体今日で何徹目なんですか』
文「なあに、まだ四徹目だ……いや五徹目か?」
『事態は思ったより深刻なようですね』
これ以上起こしていたら何らかに異常をきたすだろう。
私は考えた末にあることを思いついた。
『ちょっとこっちに来てください文次郎』
文「ん?なんだ?」
『ここ使っていいので寝てください』
文「……はあぁぁぁぁあ??!!!」
文次郎が突然大声で叫ぶので、私は慌てて彼の口を塞いだ。
『皆の迷惑になるので夜中に大声出さないでください』
文「バカタレ!!お前、正気か……?」
『私は至って正常です』
文「十五の男に膝枕しようとするのは正常な奴がすることか?!」
文次郎は何をあたふたしているのだろうか
別に恥ずかしいことでもなかろうに。
『ほら、枕があった方が寝やすいでしょう』
文「いや、そうではなくてだな」
『大丈夫です。貴方の分の仕事も私がやっておきますから』
文「そういう問題じゃない」
何を言っても寝ようとしない文次郎に私は段々と苛つきを覚え始めていた。
(あーーーもーーー……早く寝ろよぉぉお)
『二択だ。寝るか気絶させられるかどっちがいいか選べ』
知らぬ間にいつもの敬語も抜けて、ぶっきらぼうに私は言った。もう限界だった。
文次郎は不服そうな顔をして俯いた。
文「……っ、しょうがねぇな。寝ればいいんだろ……だがそこでは寝ない、自分の部屋で寝る。お前も戻れ」
やっと折れてくれた文次郎に私は胸を撫で下ろした。
そしてその日は文次郎を先に帰らせた後、私は一通り片付けてからくのたま長屋の方へ戻っていった。
(そういえば……別れ際に見た文次郎の耳、赤かったなぁ。徹夜続きで風邪でもひいてなきゃいいけど)
それからというもの、私が文次郎に寝るように言うと素直に聞き入れるようになったのは一体何故なんだろう。
聞いても教えてくれないので、未だに私の中で謎に包まれたままだ。
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時