６ ページ7
「メイクさん、若いですね。おいくつですか？」
「23になります」
「私の６個下だ。メイク上手ね」
「あはは…ありがとうございます。チカさんもお肌が綺麗で、メイクしやすいですよ」
「ふふっ、口まで上手なのね」
彼女の名前は、チカさんと言うらしい。
しゅんちゃんよりも年上の、大人の女性だ。私が、敵うわけない。
豊満な胸や、引き締まったウエスト、ふくよかなお尻、全てが整えられた美しい形。造形美ってこういう感じなんだろうな。
そりゃあ、しゅんちゃんもあんな顔するよね…
「メイクさん？って、呼びづらいわね。お名前は？」
「え？あ、私ですか？」
「ふふ、あなた以外いないでしょう？」
笑い方すら美しくて、思わず見惚れてしまう。
「久保田Aです」
「Aちゃんね。覚えとく。あ、そうだ！お願いがあるのだけれど」
「私に出来ることでしたら」
よかった、と嬉しそうに呟く姿に、さっきの光景が甦り、筆をぎゅっと握る。
「Aちゃんって、社長さんと仲いいかしら？」
「えっ、と…」
「もし良ければね？これ私のLINEなんだけど、教えといてくれないかしら」
有無を言わさず、チカさんは私の手に紙を握らせた。
「ありがとう」
そう言われ、私は何もいう事ができなかった。
チカさんのメイクを終え、私はしゅんちゃんの元に向かった。
なかなか足が進まない。
目の前で、スタッフさんに囲まれて楽しそうにしているしゅんちゃんを見て、ドクンドクンと心臓が音を立て始める。
嫌だ、渡したくない。
そう思った瞬間、私はしゅんちゃんから逃げるように逆方向に走った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なる - 久しぶりに泣きました！こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、！ありがとうございます！ (2023年1月27日 21時) (
レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます！次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです！ 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天ヶ崎音 | 作成日時：2022年10月30日 23時
