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「はぁ、はぁっ、、はぁ、、、」



乱れた呼吸を整えながら、どくどくとうるさい胸元をぎゅっと握りつぶす。


手元には、汗でじんわりとしまってぐしゃぐしゃになった紙切れ。



苦しくなり、その場にしゃがみ込んだ。







どうしよう、渡したくない。




きっと、これを渡せばチカさんは今日、しゅんちゃんと寝ることになるだろう。



その時の姿を想像して、勝手に苦しくなる。



今までだってそうだ。





しゅんちゃんに彼女が出来るたびに、そういう想像をして、勝手に1人で傷ついてた。



最悪だ。











「あ、おった。Aさん、こんなとこで何してるんですか?」



聞き慣れた声がして、私は顔を上げた。


太陽の光が反射して、思わず目を細める。



うっすらと瞼の間から、ふぉい君の顔が見えた。





「気持ち悪いですか?あ、えっと、吐きます?熱中症?水?あー、、くそっ…そのー」









心配して、来てくれたんだ。


撮影あるのに。



向こうに、可愛い女の子、いっぱいいるのに。





オロオロしてる姿が可愛くて、自然と口元が緩んだ。



「ふふっ」


「…?」



「ふふふっ、、あはははは!」



「なっ、何で笑うんすか!」




「ごめん(笑)可愛いけん、つい…ふふふっ」








暫く笑ったら、さっきの事が少し吹っ切れたような気がした。




渡すくらいなら、耐えられる。




その後で、いっぱい泣こう。








「撮影始まるっちゃろ?こんなとこでぐずぐずせんと早く行こ」


ぼーっとしてるふぉい君の手首を掴んで、走り出す。




ふぉい君の顔を見ていたら、泣きそうになるから。




だからどうか、気づかないでね。

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なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️‍🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時

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