巻ノ百四十六 ページ1
うちはがクーデターを起こせば一族は全滅。里も相当の被害を受け、その隙に他国が攻めてきて戦争になるのは目に見える。
クーデターが起これば、犠牲者だけが増える。
それだけは避けたかった。
だけど、彼が命を投げ出さねば止めようがなかったというのか──。
崖の下を見つめ、頬を伝う涙を手のひらでグッと拭うと静かに息を吐いてそのまま声をかけた。
貴「・・・一人で来たわ。出て来て大丈夫よ、イタチ」
茂みから姿をあらわしたイタチ。その姿を視界に入れ、真っ直ぐに足を向けると目の前で頭を下げた。
イタチ「!Aさん・・・何を」
貴「ごめんなさいっ。シスイを・・・あなたの大事な友を死なせてしまった。責任は私にあるわ」
うちはシスイ、一族の若手の中核を担う人物。
彼のジサツによりうちはの士気も戦力一気に落ちた。
結果だけを言えば、反乱の芽は摘んだ事にはなったのだ。
貴「ただ、どうしても信じられないの。
シスイが自らの命を断つなんて」
顔を上げるとイタチの腕を握り締め、目を射抜いた。
貴「イタチ、何か知っているのなら教えて欲しい」
イタチ「・・・シスイの件は、上層部から正式にジサツだと伝えられました。遺書も見つかった、それは知っていますよね」
貴「ええ。中身は私も確認したわ」
イタチ「それなら何故・・・」
手を離し、顔を俯かせると目を伏せて言葉を続けた。
貴「私は・・・実質 うちはの件から外される。クーデターが起これば私も出るだろうが、真の任務は今後 伝えられないでしょう」
イタチ「!暗部の総隊長であるAさんが・・・そんな。
どういう事ですか?」
貴「おそらく・・・ダンゾウ様ね」
イタチ「!」
貴「私の思想はダンゾウ様とは正反対。上層部に対し発言権もある私が邪魔になったのか、非難してきたわ」
息を漏らし、目を開けると視線を外した。
貴「三代目が私の身を案じたのでしょうね。この件については火影の命があるまで待機となったわ」
風がふきつけるとたばねていた髪は揺れ、腰につけていた面に手を伸ばした。
貴「シスイの死で、反乱の芽は摘まれた。だけど、これは一時的に過ぎないと私は思っている」
イタチ「Aさん、おれはシスイの後を引き継ぎます。
うちはに反乱は起こさせません」
貴「・・・そっか」
頷き、面をつければイタチの隣を静かに通り過ぎた。
貴「ダンゾウ様に気をつけなさい」
イタチ「ハイっ」
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白花(プロフ) - わわさんさん» そう言っていただけて嬉しいです!ぜひ、これからもよろしくお願いします😊ありがとうございました💗 (9月18日 11時) (レス) @page18 id: f936ecd47d (このIDを非表示/違反報告)
わわさん - 好きな作品でしかも好きな設定だったので一気見しちゃいました!✨️✨続きが楽しみで仕方ないです!!! 更新待ってます (9月10日 23時) (レス) id: 2393d5040c (このIDを非表示/違反報告)
白花(プロフ) - めぐみさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!クシナとミナト、しばらく出せないと思うと寂しいです😭ようやくナルトたちと関わってきますので、お楽しみに☆ (8月15日 21時) (レス) @page14 id: f936ecd47d (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - 久々に一気読みするほどどハマりしました!クシナとミナトのあの名シーンは感動ものですね、、、続き、楽しみにしてます!更新頑張ってください(๑˙꒳˙๑)و (8月15日 14時) (レス) id: 206425900b (このIDを非表示/違反報告)
白花(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!見ていただいて嬉しいです☺︎︎ (8月10日 22時) (レス) id: 0948fc59e0 (このIDを非表示/違反報告)
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