木の葉の影「NARUTO」

巻ノ十七 ページ18

オビトはカカシの肩を掴んだ。

ｵﾋﾞﾄ「カカシ、お前まさかもう一人を見捨てたのか？｣

ｶｶｼ「俺は任務を優先させただけだ。掟に従ったまでだ」



カカシは立ち上がるとオビトと向かい合い迷うことなく、こう言い切った。

ｶｶｼ「掟を守らないヤツはクズだ」

ｵﾋﾞﾄ「だけど、その結果がこれかよ。お前が仲間を見捨てなきゃこんなことになってねえ！」



仲間優先のオビトと掟、任務優先のカカシ･･･二人が衝突するのは無理もない。



兄さんはオビトの肩に手を置いた。

ﾐﾅﾄ「やめるんだオビト。これは想定外の出来事だ、カカシのせいじゃない」

貴「オビトの気持ちはわかってる。けど私やミナトだとしても良い結果になったとは限らないわ」


オビトは兄さんの手を振り払うと私達に背を向けて真っ直ぐに歩き出す。

ｶｶｼ「どこに行く気だ？」

ｵﾋﾞﾄ「決まってんだろ!? そいつを助けにだよ！｣



ｶｶｼ「だが彼は敵の真っ只中だ」

ﾐﾅﾄ「その通りだ、危険すぎる」



オビトは私達の言葉に聞く耳を持たず、振り返りもしない。私達では崩すことのできない固い意思がオビトの中にはある。

ｵﾋﾞﾄ「初陣で任務失敗なんてやなこった」

ｶｶｼ「失敗ではない、これは想定外のことだ」



ｵﾋﾞﾄ「カカシ、お前優等生のくせに頭の回転が悪いな｣

ｶｶｼ「なにっ!?」



ｵﾋﾞﾄ「よく考えろ。俺たちが護衛してた四人が全員消えたんだ。誰が俺たちに想定外のことが起きたって証明してくれるんだよ？」

オビトの言葉にさすがのカカシも言葉を詰まらせる。


ｵﾋﾞﾄ「もともと裏切り者がいたってことを依頼してきた里にシラを切られたら責任を負うのはミナト先生とA先生だ」



オビト、あなたそこまで考えて･･･。

だけど彼を助けに行くことはかなりの危険がともなう、一人で行かせることは出来ない。

ﾐﾅﾄ「俺達のことはどうでもいい」

貴「任務は終わったの、オビト」



ｵﾋﾞﾄ「言っておきますけど、先生達が俺をぶん殴って里に連れ戻そうが何度だって置いてきぼりにされたヤツを探しにいきますよ。俺は仲間を見捨てない」



オビトの言葉に目を僅かに大きく開かせるとフッと表ため息まじりに表情を緩めた。

貴「私もオビトと同じ気持ちよ、だけど立場上好き勝手に動けない。だから我慢してたっていうのに･･･｣

ﾐﾅﾄ「A･･･行く気かい？」


貴「仲間を見捨てない、そう言われちゃ黙って見てられないわよね･･･｣

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