赤色 ページ2
❀
とある公園。
私はベンチに座り、春の名物である桜を見ていた。
気分は人知れず穏やかである。
『ふぅ…でもまだかなぁ……』
だが、いくら穏やかであっても…とある人物にいつまでも待たされていたら疲れてくるのは当たり前。
まぁ、そのとある人物はいつも遅れてくるんだけどねぇ…。そろそろ早く来れる様になって欲しいものです。
「おーい！遅れてごめぇ〜ん☆」
ふざけたように謝り、いつの間にか来ていた彼。
いつもの赤色のパーカーが今日もよく似合っている。
『もう、いつも遅い！』
「だからごめんて〜」
と言う本人、松野おそ松は遅れている事を悪いこととは思ってなさそう…、でもそういう所が彼特有の個性で私は良いと思う。
『わかった。次はないからねぇ？おそ松』
「おーけーおーけー」
相変わらず軽い返事のおそ松。
本当にわかっているのだろうか…
この彼が私の友達だなんて変な縁だと思うよ。
そもそもニートであるおそ松が私とこの公園で知り合ったのが不思議である。いや、なんとなく気になった道を歩いては迷い、猫を追いかけては知らない公園についた私がいけないのかもしれない。
と、初めておそ松と出会った時を思い出した。
あの時は頼りになるお兄さんの様にこの公園は何処だとか暇しない様に話してくれたりとか……
タクシーを呼ぶまでに色々と教えてくれていた。
今じゃ仲良くなり過ぎて頼りない所ばかりに目がいっちゃうんだけどね……。
「…おいおい、何ジト目で見てんだよ〜」
『気のせいだよぉ』
「え〜…俺の目に狂いはないんだけど〜？」
『たまには狂うんだよ。ほらほら、それより今日はおそ松の兄弟さんを紹介してくれるんでしょ？楽しみだなぁ』
おそ松の背中を押しては歩みを始める。
「そーそー！まだ、アイツらにはAのこと話してないからサプライズになるな」
なんてご機嫌に頬を緩めるおそ松。
本当に兄弟が好きなんだと、兄弟愛が感じられる。
多分、今の彼の頭にはサプライズした時の兄弟の顔が思い浮かんでいるのだろう。
『ふふっ』
公園に見える満開の桜は今、
そよ風と共に揺れていた。
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作者名：ちゃむちゃ | 作成日時：2021年8月5日 10時
