_四訓 ページ5
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身体にまとわりつく血。潰れる肉の音。
「おえ…」
五感に感じる全てが全身で拒絶する。
「……、」
血に慣れていない訳では無い。仮にも戦闘民族だ。でも、気分がいいものではなかった。
そんなAの周りは赤黒い死体が複数無残な形で転がっている。襲ってくる敵がいなくなり、ポツリと一人に感じられた。
春雨に入る前までは戦うことを好まず、一人誰もいない森の中で住んでいたA。
「(大丈夫。約束には確実に近づけてる。だから…)」
左胸に手を当てればドクドクと鼓動が感じられる。そこへやってきたこの星の天人達。
「春雨に女がいるぞ!」
「殺れぇ!ぶち殺せェエエ!!」
「………全く。もう少し考えて登場しろ。折角謎多きヒロインの回想タイムだったのにな……」
Aがそう言うや刹那。さっきまで動いていたが、ぐったりと地面に倒れている。
まだ少し息があることに気づき、Aはそっと近くに歩み寄る。
「__…悪いな」
気持ち悪いはずの戦場なのに、心のどこかで楽しんでいる自分がいた。……そのことにカノジョは気づいていない。
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時