約束は呪いに呪いは祝いに (ページ30)

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２５呪目:道化師と悪魔＊ページ30

千景side

『...なるほど。たしかに雇用条件などにおかしな点はないし、ずいぶんとしっかりしているのですね』

あの後、とりあえず人の目につかない場所へと移動して封筒の中の書類を見ていました

ユニット移籍にしても引き抜きにしても、どちらもしっかりとした契約の内容が書かれていて、普通の人間ならあっという間に飛びついているでしょう

...普通の人間なら、ですがね

おそらくこれが天祥院英智の常套手段。目的を達成するためならどんなことでも、どんな手段でも使うのでしょう

天祥院家は芸能界に多大な影響力を与える名家ですからね。金やコネに関してはなんの問題もなく用意できる

いまfineにいるメンバーがどういった内容の契約で結ばれているかは定かではありませんが...厄介なんですよねああいうタイプは

私はどうなろうと構いませんが...家族に迷惑がかかるのはいけません。沙羅だってまだ小さいのですから

一方で朔間の家はねぇ...私如きならあっという間に切り捨てるでしょう。「アイドルになりたい」と言った零さま...次期当主さまに対して真っ向から反対し、私に対しても「アイドルから引き剥がせ」などと言ってくるくらいですから

天祥院家からの攻撃がくれば、零さまの意見も聞かずに私を断頭台にかけて首をはねるに決まっている...そうなれば零さまの夢は潰えてしまう

やはりこれは燃やしますかね...「最初からこんなものもらっていなかった」という現状を作り出せば、とりあえずの避難措置になりますから

渉「これはこれは！零の執事さんではありませんか！」

『！これは日々樹さま、おひさしぶりでございます』

そして相変わらず歩くビックリ箱ですねこの方は...もう見慣れましたが

『日々樹さまはこれから部活で？』

渉「えぇそうです！最近ようやく後輩がおもしろくなってきましたので楽しい限りですよ！」

『それはなによりでございます。零さまも今日の夜にはお戻りになられるそうなので、また五奇人でお集まりになられるときが楽しみでございますね』

フフッ...少し気が楽になりましたね。やはり人と話すのはいいものです

『野暮用がありますので失礼します。それでは、また後日』

このときの私は気づいていなかった。先程まで見ていた資料、それが入った封筒が

渉「フフフ...♪まだまだですねぇ。さぁてなにが入っていたのか確認してから零に渡しましょう♪」

いつの間にか、日々樹さまに盗られていたことに