雷門の女神2 (ページ35)

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「うおおおおおおお！」

駆け出した明日人がグングン加速する

その足元に稲妻が宿る

さらにスピードを上げる

力強く大地を蹴ると、地上から空中へと逆立つように電撃が走った

全身を稲妻に包まれた明日人が、光の速さでボールを確保した

「これはまさに、イナビカリ・ダッシュ！」

『目金のようだな』

必殺技を名付けた奥入に、海風は仲間を思い出す

着地した明日人が、仕上げを小僧丸に託す

「ファイアトルネード!!」

小僧丸の必殺シュートがゴールキーパーを弾き飛ばした

そこで前半が終了すると、雷門はベンチに戻る余裕の笑みを浮かべた

「作戦ならまだまだあるぜ？」

「馬の耳に念仏大作戦！」

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない大作戦もな」

すれ違いざまに聞いてしまった下鶴が、「何それ…」と言う顔でギョッとしながら、海風の元へ

「お前たちの作戦はなんなんだ」

『私も聞きたいよ…。だが、作戦名はともかく、お前たちから点を取るための作戦だ
実用性が高い…』

「だとしても、もう少し名前を考えた方がいいぞ」

『私も思う』

自然に返した海風に、下鶴は「そ、そうか」と言う

ベンチに戻り、水分を取る

「このままなら勝てますね!!」

大興奮のつくしがそう言うと、海風は『油断をしなければな』と笑う

『……』

不意に、なぜか海風は観客席の方を向いた

何もないはずなのに、何かあると感じる

「海風さん？」

氷浦が声をかけると、ハッとした海風は『あ、あぁ、すまない』と言う

「どうかしたんですか？」

『いや、何もないよ』

ドリンクをつくしに渡した海風は、またピッチに戻っていく

後半も始まり、完全に主導権を握った雷門は、4対0でこの試合を制した

喜ぶ雷門イレブンのもとに、下鶴が歩み寄る

「こんな作戦に負けるとはな…」

『こんな作戦で勝つとは、私は予想もできなかったよ』

下鶴にそう返すと、「だが」と言う

「お前たちの次の相手は帝国学園だ。この程度の作戦では絶対に勝てない」

帝国の名を聞き、海風はキュッと口を結んだ