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日が落ちて辺りがオレンジに染まる
皆各々ぐったりしているのは朔間先輩の特訓のおかげ
＿＿＿＿だけじゃない。
｢やっぱりダメだった…？｣
｢ごめんね……｣
小首をかしげて心配そうにこちらを覗き込むあんずちゃんに罪悪感しか感じない
柊さんの一件を聞き出せた日以降、彼女の存在に興味を持ち出したあんずちゃんにお詫びとお礼を兼ねて皆で彼女について探る事に
……と言っても僕たちだけじゃ圧倒的に情報が足りないからまずは“騎士”探しから始まったという訳だ
｢うちの学校で“騎士”って言ったらKnightsの誰かなんだろうが……｣
｢絶対泉さんじゃない…｣
お昼休み、勇気を出して泉さんに会いに行ったは良いものの気持ち悪いぐらい追っかけ回されて何も聞けずに終わった
あの人がその“騎士”であるなら柊さんは相当な物好きだと思う
｢まぁワカメさんなら“ちょ〜うざぁい”とか言ってメッセージカート破り捨てそうだもんね〜｣
｢……確かに｣
で、あるとするなら彼女のメッセージを大切に扱えるKnightsメンバーである事になるけど＿＿＿＿
｢オカマさんか朔間先輩の弟じゃない？｣
｢……そうなるよね｣
何度も言うが泉さんじゃない。絶対に。
それに彼女が不登校である事を考えると1年生も外される
｢弟の方じゃない？朔間先輩も“弟”って言った部分あったし｣
｢でも弟くんなら衣更くんが仲良いはずじゃ＿＿＿｣
｢衣更は口を割らないだろうな。どうにも柊の件に関してあいつは協力的じゃない｣
やっぱり普段迷惑をかけている分、ここで余計な面倒はかけられない、か
｢それに今日の昼、衣更が教師に頭を下げて何かを頼んでいるのを見かけた。あいつもやるべき事が他にあるんだろう｣
｢やっぱ僕たちだけで探すしかないかぁ、｣
今は果てしなく遠い存在だけど、いつかあんずちゃんが彼女に会えることを願うしかない
辺りが青くなり、大きな月が空に浮かんできた頃
｢……A。月みたいに綺麗だったなぁ｣
｢……私も柊さんに会いたいな、｣
2つの願いと呟きが吸い込まれるように消えていった
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：八月蝶 | 作成日時：2023年3月3日 23時
