女王の朔望月 (ページ15)

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｢……もうよいぞ、お終いにせい｣

その一言で何時間も続いたパフォーマンスが終わりを告げる。

明星くんは飛び跳ねているが、残り2人を見る限り相当疲れているんだろう。当然だけど。

しかし品定めをしていた張本人である朔間先輩の反応が余り良くない。

“未熟”、“青臭い”と言っているあたりお眼鏡にかなわなかったのかな、？

｢……朔間先輩、どうも顔色が優れないようだな。俺たちは不合格か？あなたを楽しませる事は出来なかったのか…？｣

不安になる氷鷹くんの気持ちもよく分かる。
＿＿＿だってその暗い先輩の反応が怪しいのだから

そんな私たちの不安を見越してか、朔間先輩は喉をならして“くくく、”と笑う

｢合格か不合格かで言えば、文句なく合格じゃよ｣

3人のパフォーマンスには夢があった。
未来を切り開く可能性に満ちていた。

それは朔間先輩の手に余る程の輝きだったのだ

……けれど。

ドリフェスで敵対する可能性故に“仲間”にはなれない

｢……じゃが。……年寄りの知恵を貸すことぐらいはしてやろうかのう。むしろ言いたいことが山盛りすぎて破裂しそうじゃ！｣

そう嬉々として話し出す先輩に安心からか、脱力してしまう。

先輩の言う通り、3人のパフォーマンスは輝いていた。
まだ荒削りで協調性も無いかもしれないけど、それでも煌々と光る一番星だ

そんなパフォーマンスを何時間も見ていたんだ。
感想を求められても上手く言葉に出来ない

｢……くくく、放心しておるの。まぁよい｣

そんな放心状態の私を無視して会話は次々に進んでいく。

朔間先輩の指示で

明星くんは私と行動することに、

氷鷹くんは双子に稽古を付けてもらうことに、

遊木くんは大神くんに締められることになった

｢あぁ、我輩が永く見守ってきた夢ノ咲学院の歴史に新たな1ページが刻まれる！｣

窓から差し込む夕陽の光に溶け込む朔間先輩はこの世の物とは思えない程美しく、魔物の様な雰囲気を醸し出している

｢(……でも。何でだろう)｣

ギラつく瞳には物寂しさも帯びている様な気もする

｢…嬢ちゃん、明星くん。今日は講堂でS2が開催される。せっかくじゃ、この学院の現状を見てくるがよい。お主らが変えるべき学院の惨状をな、｣

そうして軽音部の部室で朔間先輩に背中を押された先で見た地獄を、

＿＿＿＿＿私は絶対に忘れてはいけない