勿忘草の丘 ２.【オリジナル長編物語】

番外編3話 月影氏の休日 その３ ページ49

【世羅 視点】



今日は本当についてない。さっきは小遣いを楽しみにしてたけど、本当に。

今更思い出したが、今日はこの街の誕生を祝う祭りの日。

昔の風習が今も残っているこの街に住む人々は、大体祭りや祝事が大好きなことが多い。

騒がしいのが苦手なあの百合亜でさえ、嫌いではないと言う程だ。まぁ、元からトマト投げとか

牛追い祭りとかはやらず、歌ったり踊ったりする方が多かったからな。

で、ここは結界と山脈と森と湖に囲まれた小さな小さな街(村ほど小さくはない)だから逆に言う

と情報が広まりやすく、日之影家とかが街を守ったって話はほとんどの人が知っている。

この街の魔法使いは都会と化した他の街と比べれば多い方だが、やはり少ない。だから俺達の周

囲に人がよるんだ。そうなれば俺は、確実に何かをやらなければいけなくなる。

……じゃなきゃ子供がうるさい。

なんだよ、手からシャボン玉出してりゃいいのかよ？

とまぁそんな感じで、今に至る。



「あー、誰かやって欲しい事言ってくれ…… 俺自身じゃどうにもならない」

「おぉツキカゲ、三人目の孫の誕生日祝いにお守りの石を作ってやってくれんか？」

「あ、ジンクさん。じゃあそのお守りの石の原料をください。今すぐここで作ります」

「ツキカゲのことだからそう言うと思ったわい。ほれ、もうお代も入れてある」



この人は、商店街で鉱石を販売している店長のジンクさん。それでいて俺の刀の師匠だ。

今はもうお爺ちゃんで、孫が四人。今度の目標は孫が成人するまで生きることらしい。

この人なら本当にやりそうな気がするな……

若い頃は遠い山の中で鉱石を採掘してたらしいし、ジンクさんに手渡された鉱石は美しい緑色で

有名なエメラクトだし…… この人凄すぎるし。



「あざっす。じゃあいきますね……」



俺は百合亜のおつかいの荷物を左手に持ちながら、右手の上にエメラクト鉱石を浮かべる。

３０秒程度で、鞄にもつけられる紐がついたお守りができた。

それをジンクさんに手渡し、俺は人混みの中を通りながらなんとかロックの後を追う。

もう買い物は済んだ様だった。「久しぶりのお祭りはどうだった？」って聞かれたけど、俺には

答えられる気力などない。確かに楽しかったけどさ、人混みの中キツすぎだろ。

え、お守りのお代は幾らだったって？ 小遣い程度だよ、簡単な仕事だったし。

あーもう、さっさと帰って寝よう。

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ラッキーカラー

あずきいろ

キャラの最近つぶやき【２.】編

雷華 「最近暇すぎて百合亜の人形で寅と遊びだす夕食後の自由時間。」

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