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中島敦、泉鏡花、中島A。
三方にとっての分岐点、当日。
探偵社の扉が開かれた。
薄墨色の髪で、青い目をした女が、そこに立っていた。
「待ってたよ。お望み通り、世間話でもしようか？」
『手紙、読んで頂けたようですね。世間話でも何でも、時間が稼げるならば構いませんよ』
Aが安心したように笑った。
乱歩が手紙を読んでくれたことも、予想通りに進んでいることも、何もかも順調だった。
これで敦と鏡花を救うことができる。
もう、失うことはないのだ。
『敦さんと鏡花さんが、ツシマの捕獲に向かいました』
「大凡話は聞いていたが、やはり奴らはそう動くか」
『はい。私を拾うことは絶対にしてはいけない、そう言えば、彼らは必ず元凶を捕らえに行きます』
「乱歩さんと太宰の手を借りられなかったとはいえ、見捨てるは選択肢にないだろうからねェ」
昨日、Aの話をしたのは敦だった。
告げられたのは、彼女を救うために手を貸して欲しい、という内容。
だがそれを拒んだのが、乱歩と太宰だった。
理由は明白、未来の自分が手を貸すなと言ったから、それだけだ。
それにより他も頷くことはできず、彼らはたった二人で行動を起こしている。
全てとは言わずとも、話は大方伝わっていた。
『安心して下さい。敦さんと鏡花さんが無事帰還する確率は100%、これは乱歩さんが導き出したものです』
「あぁ。寧ろ下手に動く方が確率を下げるだろう」
Aの言う乱歩は勿論未来の彼である。
だがこの場の彼も、同じ答えを割り出した。
このまま事が進めば、二人は助かる。
その上、未来も保証される。
出会ったばかりとはいえ、乱歩も加われば皆は彼女のことも信じる。
「ボクらはここに待機しますが、貴方は全てが終わったらどうするんですか？」
『それに関しては、心配なさらなくて大丈夫です』
太宰が窓の外を見ていた。
別に、そうしない方法だってある。
だけれど彼女の言う通りにしたのは、それが最適解だと思ったから。
それだけが、敦と鏡花以外に、彼女も救える方法だと思ったから。
『ツシマは絶対に異能を解かない。故に、今まで彼の駒となった人間たちは、それ通りに生きていきます』
Aからの反逆を防ぐために、彼らは運命共同体である。
今、この時代で、ツシマと子供の彼女は。
彼の異能を解くには太宰が触れるか、または。
『私は彼と共に、死にますから』
二人がツシマに気を取られているうちに、彼女は自身を殺すのだ。
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砂木雲雀 - 感動しました…！久しぶりにとってもいいお話を読めた気がします。ありがとうございましたぁあ…！！！ (2019年6月23日 14時) (
レス) id: f363e24a01 (このIDを非表示/違反報告)
真綺 - めっちゃ感動しました!! ありがとうございました!! (2019年6月23日 13時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)
柊まふ(プロフ) - とても 泣きました……！神作品を、ありがとうございます (2019年6月23日 12時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろろみや。
| 作成日時：2019年6月23日 2時
