【M/S/S/P軍パロ】ICEⅢ【freeze】 (ページ9)

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～Lying～ページ9

私はなんでこっち側なんだろうなあ、といつも思っている。
別に軍の人に不満はないし、こちらに忠誠心はあるんだけれど。
「お早う。どうしたの、悩み事でもあるの」
「あ、おはよう。いや、特に何もないよ」
そうか、じゃあ飯ん時に、と言って去っていった。
最近私の部隊に入ってきた、コードネームFさん。
私と彼は同期である。
最近の割には年が私より上で、時々疑問を抱く。
徴兵令、どうして免れたんだ。
私はいつもそれを思っていたが、今日こそそれを聞いてみようか。
「ねえ！」
「ん、何」
振り向いた顔に私は思わず胸をときめかせてしまう。
くっそー、イケメンは良いなあ。……年は10歳くらい上だけど。
「どうやって徴兵令、免れたの」
そう聞くと、去っていきそうな足取りを、私へと方向を変えた。
顔は相も変わらず笑顔である。
「遂に聞かれたかあ。俺は、ずっと怪我させられていたんだ。弟に」
「弟さん、いたんだ」
「うん、死んだけど」
酷いことを聞いてしまった、と口をつぐむが、Fさんは顔を変えない。
「どうして、笑顔なの？」
「ん？いや、いま思うと弟凄いな、って」
するとFさんの話が弟へと変わった。
「俺、今は30くらいじゃん。ってことは徴兵令は……今は15歳だけど、昔は20からなのよ。だから大体10回くらい試験が有るわけね」
「そうだねえ。って、10年間も怪我していたの」
「ううん、違う。10回」
「……というと？」
ふふふ、と頬をポリポリと掻く。
「試験がある前日かその日くらいに、弟が俺の体の何処かを骨折とかナイフで刺すんだよねー」
Fさんは笑うが私は笑えない。え、冗談？
私も笑うべきなの？あはは。
「ま、こんな感じで免れたの。あ、もうこんな時間かあ。じゃあね」
「あ、うん。ばいばい」
そして私は一人で取り残された。
膝から力が抜けて、顔が熱くなっていく。
「ううー……、好きになっちゃダメだよ……」
それでも赤くなった顔を隠した手を握ってくれる誰かを、私は求めている。