ありのまま ページ19
(??side)
なにが正解で何が間違いで
そんなの誰も知らない。分からない。
だったらそんな壁ぶち壊してしまえばいい。
他人から見た自分なんてどうでもいい。
自分は自分で、それ以外の何者でもない。
なんてそんなのただの強がりだ。
頭でそうなりたいと分かってはいても、
どこから向いているとも知れない視線に、怯える自分がいた。
「眩しいね」
太陽に手をかざしながら、微笑む彼女。
眩しいのは君だ。
どれだけ手を伸ばしても届かない、その遥か彼方で悠々と輝いているんだから。
「そうだね」
そんな言葉はおくびにも出さず。
僅かな笑顔とともにそう返した。
「私さ……やっぱり、好きなんだ」
「………そう」
そう目を伏せた彼女。
長い睫毛の瞬く奥には、熱の篭った憂いの瞳がある。
そんな顔しないで。
そんな顔で、あいつのことを考えないで。
伸ばしかけた手を止める。
「今更だって怒られるかなあ」
「そんなことないよ」
迷わずにそう返した。
そう、あいつはそんな人間じゃない。
いつだって君のことを考え、大事にしているんだ。
だからこそ、こんなにもやるせない。
「きっと、今も待ってるよ」
「……どうしてそう思うの?」
琥珀の瞳がくるりとこちらを向いた。
その透明な色にどきりと心臓が跳ねる。
ああ、これだから。
君と向かい合うのは嫌なんだ。
こちらの醜い感情さえ、見透かされてしまいそうで。
「彩が惚れた男だから?」
おどけてそう言えば
彩は一瞬ポカンとしたあと、プッと笑った。
「なにそれ」
「真面目だよ」
その正面に立った。
僅かに下にあるその瞳は、上向いてこちらを見上げる。
その頬を両手で覆った。
その感触に、泣きそうになる。
こんなにも近くにいて
触れられるのに
君の心はあいつのものなんだね。
「彩の男を見る目は、確かだよ。
まあ、あんなハイスペック男子共に囲まれてたらそうなるに決まってるけど」
そう、誰もかれもが強敵だった。
魅力的でかっこよくて、気を抜いたらこちらが惚れそうになるぐらい
真摯に彩を愛していた。
けれど、彼だけは別格だ。
「黒木はきっと、彩がいないと生きていけないよ」
「そんなことないよ」
今度は彩がそう言い、俯く。
「たくさん酷いこと言ったし、傷つけた」
「そうだね。でも、それでも彼には君が必要なんだと思うよ」
その赤い唇が震える。
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ハナ - 恋檬さん» 私もあげたいです!!!! (2017年12月16日 21時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
恋檬(プロフ) - スマホが欲しいアーヤにスマホをあげたいよお!!! (2017年10月22日 11時) (レス) id: a868e82522 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - @恋歌さん» 花畑ですよ!読んでくださっているのですね、ありがとうございます。憧れだなんて…恐縮です。私こそ、読者様のコメントにはいつも励まされています。凄く嬉しいです(#^.^#)応援ありがとうございます。頑張ります!! (2017年10月22日 9時) (レス) id: 74426fb86e (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - 花畑さんですよね?違ったらすいません。 (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - これからも、応援しています。頑張ってください! (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
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